有価証券届出書
(訂正有価証券届出書 から転送)
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有価証券届出書(ゆうかしょうけんとどけでしょ)(英語: securities registration statement または registration statement[1][2])とは、有価証券の募集や売出しを行う場合などに、その募集または売り出しを行おうとする発行会社が内閣総理大臣に宛てて提出する開示資料のことである[3][4][5][6][7]。当該有価証券の発行者の営業および経理の状況その他の事業の内容に関する重要事項及び当該有価証券の発行条件などが記載されている[6][8]。なお、有価証券届出書は日本国の金融商品取引法第2条第7項以下に規定されたものであり、本項ではこれについて、解説するものとする[9]。
注釈
- ^ この記載事項は、新規上場申請のための有価証券報告書のⅠの部の記載内容と同じである[3]。
- ^ 「企業内容等の開示に関する内閣府令」の有価証券届出書の記載上の注意に関する項目では、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」については、(1)「最近日現在において提出会社が経営方針・経営戦略等を定めている場合には、当該経営方針・経営戦略等の内容」について、(2)「経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等がある場合には、その内容について」それぞれ記載することを求めている[11]。また、(3)「将来に関する事項を記載する場合には、当該事項は届出書提出日現在において判断したものである」ことを記載することも求めている[11]。このうち、(2)の「客観的な指標等」については、「経営計画等の具体的な目標数値の記載を義務付けるものでは」無いという見解が金融庁より示されており、必ずしも具体的な数値を記載することは必要ないとされる[11]。
- ^ 直近2会計年度のものについて記載する義務がある。なお、2014年9月の「企業内容等の開示に関する留意事項について」の改正までは、5事業年度分の記載が求められていた[13]。
- ^ 該当する場合のみ記載[6]
- ^ 最近5事業年度分の財務諸表のうちで第二部では記載しなかった年のもののみ記載[6]
- ^ 該当する場合のみ記載[6]
- ^ 有価証券届出書の提出の対象であるオファリングが国内のみならず、海外においても行われるグローバル・オファリングの場合において、仮条件の提示や条件決定などにより、有価証券届出書に訂正事項が生じたときは、訂正有価証券届出書に加えて、臨時報告書の訂正報告書の提出も必要となる。さらに訂正有価証券届出書の訂正箇所そのものも極めて多くなる[20]。このため、条件決定に時間を要したり、有価証券届出書の修正箇所が多い場合には、訂正有価証券届出書などのEDINETへの登録が時間ぎりぎりになってしまう、あるいは条件決定日当日中のEDINETへの登録と公表ができなくなる場合もごく稀ではあるが存在する[20]。
- ^ EDINETでの法定開示書類の登録手続きは、2007年9月30日までは「平日の午前9時30分から午後5時まで」に行うものとされていたが、2007年10月1日に「平日の午前9時00分から午後5時15分まで」に延長されている[20]。しかしながら、有価証券届出書や臨時報告書における開示内容の充実の観点から、法定開示書類の記載事項は増加する傾向にあるため、タイトなスケジュールを緩和することを意図して、更なる時間延長が望まれている[20]。
- ^ 但し、訂正事項が発生した場合は、原則として、訂正事項が記載された訂正有価証券届出書の提出から効力発生までは、再度、訂正有価証券届出書の提出した日の翌日から起算して16日目まで待つ必要がある[17][21]。
- ^ 有価証券届出書の効力が発生した段階で、財務局はその有価証券届出書の提出を行った発行会社に対して、効力発生の通知を行うこととなっている[22]。
- ^ 『企業内容等の開示に関する留意事項について』8-2によると、具体的な日数は、参照方式又は組込方式の有価証券届出書を財務局長が受理した日から、中7日を開けた日、すなわち受理した日の翌日から起算して8日目とすることが一般的である[21]。但し、その期間については、少なくとも行政機関の休日を除いて4日間は確保するよう同『留意事項』において求められている[21]。
- ^ 記載すべき重要な事項の記載が欠けていた場合が虚偽記載に当たるかについては、法解釈上の争いがあるものの、基本的には当たると解するべきと考えられている[27]。
- ^ 仮に効力発生後に効力停止命令が出された場合は、その有価証券届出書は効力発生前の状態に戻るため、その有価証券届出書が対象としている募集又は売出しによる取引は即時中止しなければならない[26]。
- ^ 開示会社とは、有価証券報告書の提出を既に行っている発行会社の事を指す[28]。
- ^ 有価証券の売出しについては、有価証券届出書は不要ではあるが、有価証券通知書の提出は別途、必要となる場合がある[28]。
- ^ ただし、有価証券の売出しであっても、金融商品取引法上は募集と見なされる自己株式の売出しを伴う場合は、この限りではない[28][30][31]。
- ^ この罰則規定は、西武鉄道、カネボウ、ライブドアなどによる有価証券報告書や有価証券届出書などの法定開示書類における虚偽記載事件を受けて、2006年の法改正で罰則強化が図られ、現在のような形となっている[27]。この罰則強化に対して、金融商品取引法学者の黒沼悦郎は「罰則が強化されると一般に犯罪の抑止力は向上」するとしながらも、既に同様の行為を行った者を「隠蔽工作に追い込んでしまうことが危惧され」ると指摘している[27]。
- ^ この規制は、有価証券届出書の虚偽記載が、法人の業務と無関係に行われることは考えにくいことから、法人にも罰金を科すことで、虚偽記載という犯罪行為を抑止しようとする趣旨で設けられたものである[27]。
- ^ 法の規定では「取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又はこれらに準ずる者」を役員と、発起人を指している[27]。但し、発起人については、会社設立前に有価証券届出書が提出されていた場合に限っている[37]。
- ^ 財務諸表に関する箇所とそれ他の個所について、免責の基準に差異がある理由として、金融商品取引法学者の黒沼悦郎は「財務諸表については、公認会計士・監査法人による監査が行われているから」であると指摘している[27]。
- ^ 財務諸表に関する箇所については、公認会計士や監査法人の示した監査結果について、信頼性を疑わせる事情の有無についての審査が必要であると、森・濱田松本法律事務所では指摘している[38]。
- ^ もっとも、金融商品取引法第17条では、目論見書の記載内容について虚偽があった場合には、過失責任を認めているため、目論見書が有価証券届出書を基に作成される現状の制度下では、事実上、財務諸表に関する箇所の見落としについても無過失であることを立証しなくてはならない[27]。そのため、引受証券会社の実務では、この部分についてもデューデリジェンスを実施している[27]。
- ^ この禁止措置については、2014年に一部が緩和され、プレ・ヒアリングの実施等が一定の要件下で認められるようになるなどした[39][12]。
出典
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訂正有価証券届出書
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「有価証券届出書」の記事における「訂正有価証券届出書」の解説
有価証券届出書の提出日以降、当該有価証券届出書の効力が発生する以前において、有価証券届出書に記載すべき重要な事項に関して変更等が発生したために、訂正が必要となった場合は、金融商品取引法第7条に基づき、訂正有価証券届出書の提出を行う必要がある。主な訂正事項及びその効力発生までに要する期間は以下のとおりである。
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