ブックビルディング方式と訂正有価証券届出書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/06 04:15 UTC 版)
「ブックビルディング」の記事における「ブックビルディング方式と訂正有価証券届出書」の解説
日本における株式のIPOやPOの価格決定においては、ブックビルディング方式による価格決定を行うのが一般的である。この場合、有価証券届出書を提出した段階では、想定発行又は売出価格は提示されているものの、募集又は売出しに係る価格は定まっておらず、市場価格やロードショーを参考にした仮条件が提示された後、ブックビルディングが行われるというのは前述のとおりであるが、このブックビルディングによる価格の決定は企業内容等の開示に関する内閣府令(以下「開示府令」という。)第11条第3号において、「有価証券届出書に記載すべき事項の内容の決定」にあたるため、訂正有価証券届出書を提出する必要がある。なお企業内容等の開示に関する留意事項について(通称:開示ガイドライン)B8-3ロにおいても、このタイミングで提出された訂正有価証券届出書は、提出日又はその翌日に有価証券届出書としての効力が発生する事が記載されている。さらにいえば、実務上もプライシング日に、財務局からその翌日を効力発生日とする有価証券届出書の効力発生通知書を、発行会社が受領することが一般的である。因みに、ブックビルディングが行われる前に提示される仮条件についても、その決定は「発行価格に関し発生した重要な事実」であるため、開示府令第11条第2号により、訂正有価証券届出書を提出しておく必要がある。 一方で、新株予約権付社債(いわゆるCBのことである。)の募集に際して行われる転換価格の市場価格からのアップ率の決定においてもブックビルディングによる価格の決定が行われる。しかしながら、会社法238条2項及び309条2項6号又は240条1項、2項及び3項の規定から、新株予約権の行使価額を公告に記載する必要があり、ブックビルディング方式により決定するという記載をすることを以って、有価証券届出書の記載事項を満たしているとは認められていない。それゆえ、ブックビルディングの結果、行使価額を定めたのち、訂正有価証券届出書又は訂正臨時報告書を提出したうえで、そこから払込期日まで中2週間を開ける必要がある。
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