観測所の配置密度と最大震度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 06:57 UTC 版)
「気象庁震度階級」の記事における「観測所の配置密度と最大震度」の解説
上記にある通り1996年に気象庁の発表地点である震度観測点が大幅に増加したことにより観測所の配置密度は飛躍的に高くなり、震源の近くで大きな震度が観測される可能性が高くなった。例えば1984年の大きな被害がありながら最大震度4とされている長野県西部地震、および1946年の巨大地震でありながら最大震度5とされている昭和南海地震のように、1995年以前では大きな地震でも震源の近くに観測点がなければ最大震度は小さくなっていた。観測点が増えて以降は地震の規模が以前と同程度であっても最大震度がより大きく出る傾向にあり、震度6弱などの大きな震度がより頻繁に報告されるようになっている。震度観測点の増加により、より震源に近い位置での震度観測が可能になり、このことによる最大震度の変化を検討するため気象庁は全観測点で観測した計測震度の最大値と、気象官署で観測した計測震度の比較検討を行っている。以下はその実例である。 気象庁の発表対象の全観測点における最大震度と、気象官署における最大震度地震名全地点最大震度地点気象官署最大震度地点2004年新潟県中越地震 7 (6.5) 川口町川口 5弱 (4.5) 上越市大手町(高田) 2005年福岡県西方沖地震 6弱 (5.7) 福岡中央区舞鶴 5強 (5.1) 福岡中央区大濠 2007年能登半島地震 6強 (6.4) 輪島市門前町走出 6強 (6.1) 輪島市鳳至町 2007年新潟県中越沖地震 6強 (6.3) 柏崎市中央町 5強 (5.3) 上越市大手町(高田) 2008年岩手・宮城内陸地震 6強 (6.2) 栗原市一迫 5弱 (4.6) 仙台宮城野区五輪 2008年岩手県沿岸北部地震 6弱 (5.8) 五戸町古舘 5強 (5.4) 大船渡市大船渡 2011年東北地方太平洋沖地震 7 (6.6) 栗原市築館 6弱 (5.8) 水戸市金町 2016年熊本地震(4月16日) 7 (6.7) 益城町宮園 6強 (6.0) 熊本西区春日 2018年北海道胆振東部地震 7 (6.5) 厚真町鹿沼 4 (4.4) 小樽市勝納町 1978年と2005年の宮城県沖地震の震度観測点分布。前者はM7.4・最大震度5、後者はM7.2・最大震度6弱。観測点の密度は2005年のほうが高い。 マグニチュードの小さい地震では震度6弱以上の範囲は狭くなり、それでも観測点が多ければ震度6弱の範囲に観測点がかかることになるが、少ない場合は観測点につかまらず最大震度が低くなる可能性が高くなる。1995年以前は最大震度6の地震と言えば、マグニチュードの意味でも確実に「大地震」であったが、1996年以降ではごく浅い小地震の場合でも震度5や震度6が報告されやすくなっており、「最大震度6の地震」を1995年以前と同列に扱うことは適当では無い。「阪神・淡路大震災以降、地震が増えたような感じがする」と言う声も聞かれたが、これは地震が増えたためではなく震度の報告が増えたためである。
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