観測と実戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 07:22 UTC 版)
1980年代初頭、ルーマニアの黒海沿岸付近で三角形の影が西側諸国の衛星により発見された。影を落とす本体は雲に隠れて見えなかったが、三角形の影の先端から機首と思しき構造が見られたため航空機である可能性が浮上し、西側諸国が知る既存のソ連製航空機とは合致しない形状だったことからNATOから注意が払われた。それから間もなくしてルーマニアやウクライナの軍事基地で低解像度の機影が撮影された。しかし依然として情報に乏しく、NATOでは機影や赤外線画像から後退角の大きいデルタ翼の双発機であることしか掴めなかった。ソ連の主要設計局においてこれに該当する機体が開発中という情報も得られておらず、ソ連の新型機と断定できる根拠は得られなかった。本機に対し、NATOコードネームとして「ファンダンス(Fandance)」、アメリカ国防総省では捉えられた空域が前例のない場所であったため、DoD識別記号として新たなカテゴリを作り「Uni-D(Unidentified-Delta)」と命名した。しかしNATOの注目は1980年代を通じて登場し始めたMiG-29やSu-27へと移っていくことになる。しばらくファンダンスは西側諸国の監視網に捕らえられなかったため、何らかの実験機であったとする見方が強くなっていった。一方でアメリカではファンダンスがステルス機の可能性があるとして脅威を感じており、東側諸国を牽制するため1980年代末にModel-117Aの公開に踏み切った。1990年代初頭には衛星でアフリカや中東の紛争地帯でファンダンスの姿が確認されるようになり、1990年代中頃には紛争地帯でファンダンスと交戦したパイロットも現れだした。ファンダンスと交戦し撃墜されたパイロットによれば、機体の上部分から砲台のようなものがせり上がり撃たれたとし、ロックオンアラートも鳴らなかったという。発射に際して閃光が見えたと述べ、やや離れた位置にいた僚機のパイロットも高速の火の筋が伸びたと述べている。この戦闘は地上レーダー施設でもモニターされていたが、ファンダンスのブリップは時折レーダー上から消滅した。それ以外には、アメリカの高高度偵察機がルーマニア領空を強行偵察した際に、ルーマニア領内の航空基地に多数のファンダンスが駐機している様子が確認された。
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