観光庁

日本の観光政策の窓口がどこかわかりますか。観光業界の関係者でもない限り、即答できる人は少ないでしょう。実は国土交通省総合政策局の観光政策課など6課が担当しています。
福田政権は地域格差の是正を重点政策に掲げていますが、そのひとつに観光立国の推進があります。国土交通省は、観光立国の実現に向け2008年度予算で「観光庁」の新設を要求しています。観光庁は6課がそのまま移行し、6課を束ねる総合観光政策審議官が長官のポストに就くことになりそうです。
海外ではスペイン・アンダルシア州の「観光スポーツ庁」のように、行政機関に観光と名が付く国は少なくありません。日本で観光振興が本格的に叫ばれるようになったのは、小泉政権の頃に「ビジット・ジャパン・キャンペーン」が始まったのが最初です。産業というよりレジャーととらえる見方が強く、長いあいだ政策は後手に回ってきたのが実情です。
観光庁ができれば、観光振興にどんな効果が期待できるでしょうか。国交省は、農林水産省や外務省など関係省庁へ働きかけを強めたり、外国政府との観光交流を拡大したり、国をあげて観光振興を進められる、と説明します。
観光庁が実現しても、国の観光振興が強化されるかどうかは予断を許しません。実動部隊となる特殊法人の国際観光振興機構(JNTO)が、行政改革の流れのなかにあるからです。同機構は政府系機関として13カ国に事務所を持ちますが、予算は毎年削られ拠点網の拡大はそろそろ限界にきています。一律主義、縮小均衡の性格が強い行革の影響から、観光振興は国全体として整合性のとれたものになっていないのが気がかりです。
日本を観光やビジネスで訪れる外客数は今年、台湾、中国、香港などアジア諸国を中心に過去最高を記録しそうです。アジア経済の活況が続いているうちに、観光立国へ舵を切れるかどうか。少子高齢化が加速するなかで、モノづくりに依存してばかりもいられませんから。
(掲載日:2007/10/13)
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