補酵素Mとは? わかりやすく解説

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補酵素M

分子式C4H10O6S4
その他の名称補酵素M、Coenzyme M、2,2'-Dithiobis(ethanesulfonic acid)、CoM
体系名:2,2'-ジチオビス(エタンスルホン酸)


補酵素M

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/22 23:45 UTC 版)

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補酵素M
識別情報
CAS登録番号 19767-45-4
特性
化学式 C2H6O3S2
モル質量 142.20 g/mol
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

補酵素M(ほこうそM、Coenzyme M) はメタン菌メタン生成経路におけるメチル基転位反応に必要な補酵素である[1][2]。化学物質としての名称は 2-メルカプトエタンスルホン酸。HS-CoM と略記されることも多い。対カチオンはさして重要ではないが、ナトリウム塩が最も多く使用される。チオールの部分で反応に寄与し、スルホン酸の部分で水溶性を得ている。

生合成

生体内では、補酵素Mはホスホエノールピルビン酸を出発原料として合成される[3]。ホスホスルホ乳酸シンターゼ (EC 4.4.1.19) によって亜硫酸付加された後、加水分解酸化脱炭酸を経て2-スルホアセトアルデヒドとなり、最後に還元的に脱水およびチオール化されることで補酵素Mが生成する。

メタン生成経路

補酵素Mはメタン生成経路においてC1化合物の運搬を担っている[4]

メタン生成経路の最後から2番目の段階で、補酵素Mはメチル化されたテトラヒドロメタノプテリン (H4MPT) からメチル基を受け取ってチオエーテル型のメチル補酵素M(2-メチルチオエタンスルホン酸、CH3-S-CoM)に変換される。この反応では、テトラヒドロメタノプテリン-S-メチルトランスフェラーゼ (EC 2.1.1.86) が触媒としてはたらく[5]

メタン生成経路の最終段階において、メチル補酵素Mは補酵素B (HS-CoB) と反応して、メタンを放出するとともにヘテロジスルフィド (CoB-S-S-CoM) を形成する。この反応は補欠分子族補因子F430を含む補酵素Bスルホエチルチオ転移酵素(別名:メチル補酵素M還元酵素、EC 2.8.4.1)によって触媒される[6]

CH3-S-CoM + HS-CoB → CH4 + CoB-S-S-CoM

脚注

  1. ^ Balch WE, Wolfe RS (1979). “Specificity and biological distribution of coenzyme M (2-mercaptoethanesulfonic acid)”. J. Bacteriol. 137 (1): 256–63. PMID 104960. http://www.pubmedcentral.nih.gov/picrender.fcgi?artid=218444&blobtype=pdf. 
  2. ^ Taylor CD, Wolfe RS (1974). “Structure and methylation of coenzyme M(HSCH2CH2SO3)”. J. Biol. Chem. 249 (15): 4879–85. PMID 4367810. http://www.jbc.org/cgi/reprint/249/15/4879. 
  3. ^ Coenzyme M Biosynthesis
  4. ^ Thauer, R. K., "Biochemistry of Methanogenesis: a Tribute to Marjory Stephenson", Microbiology, 1998, volume 144, pages 2377-2406.
  5. ^ IUBMB Enzyme Nomenclature EC 2.1.1.86
  6. ^ IUBMB Enzyme Nomenclature EC 2.8.4.1



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