補償金の請求方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 15:14 UTC 版)
「私的録音録画補償金制度」の記事における「補償金の請求方法」の解説
これにより利用者は、一定の場合に補償金を支払う義務を負い、逆から見れば権利者は利用者に対する請求を行えることになったが、各権利者がそれぞれ利用者の行為の実態を調べて、それに応じた請求を行うのは到底不可能であるし、利用者としても複製のたびに個別に補償金を支払わなければならないのでは、煩雑である。そこで、補償金を受ける権利は、文化庁長官が指定する団体によってのみ行使できるとして、集中管理方式が導入された(法104条の2)。この管理団体として、録音については私的録音補償金管理協会(SARAH、サーラ)が指定されている。録画については私的録画補償金管理協会(SARVH、サーブ)が指定されていたが、組織が解散し、補償金の請求受付も終了している。 利用者に対する補償金の請求は、個別に行われるのではなく、政令で指定されている機器・記録媒体の購入の際に一括して請求される(法104条の4第1項)。これにより、個別に支払う煩雑さが解消される代わりに、それらの機器・メディアを著作物の複製とは全く無関係の目的に使用する利用者からも補償金を徴収する不具合が生じる。また、これらの機器等を、日本国内で購入しもっぱら日本国外で使用する場合も、日本の著作権法が及ばず補償金を支払う必要は無い。そこで同条第2項では、補償金を支払った機器・メディアをもっぱら私的録音・録画以外の用途に用いることを証明すれば、補償金の返還を請求できるとしているが、現実にその証明は容易ではなく、また返還手続に要する費用が、返還される補償金額を上回るおそれもあり、返還制度の実効性を疑問視する声がある。 補償金を負担するのは、個々の利用者であるが購入費用に上乗せして請求するという制度上、機器・記録媒体の製造業者等の協力が必要である。そこで、これらの業者には、補償金の支払いの請求及び受領に協力する義務が課せられている(法104条の5)。 2005年(平成17年)に、初めての私的録画補償金返還の請求が行われた。家族の姿を録画したという人が、DVD-R 4枚分の補償金返還を請求した。請求者は80円切手で請求書を送り、返還金は銀行振込の8円であった。
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