裏金疑惑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 17:14 UTC 版)
2007年10月30日の朝鮮日報の報道で、サムスングループの法務チーム長を3年前に退職したキム・ヨンチョル弁護士が「自分が知らない間に開設された銀行口座に50億ウォン(約6億3200万円)を超える現金や株式が預けられていた」と証言し、同グループが役員や従業員名義の借名口座を使って裏金をプールしている疑惑が浮上した。キム弁護士はさらにサムスングループが1兆ウォン(約1263億5932万円)もの裏金をプールし、その中から2002年大韓民国大統領選挙の資金を提供したり、政治家や判事・検事などに特別手当を支給するといったロビー工作を行っていたとも証言している。 これを受けて、ハンナラ党は同年11月15日、捜査対象を盧武鉉大統領(当時)の選挙資金や当選祝賀金にまで広げた、「サムスングループの裏金疑惑に関する特別検事任命法案」を国会に提出し、23日に韓国国会で大多数の賛成で可決成立された。盧武鉉大統領は27日の記者会見で同法案を受け入れるとの方針を明らかにし、特別検事による捜査が2008年初めから開始されることとなった。 この韓国政府をも巻き込んだ裏金疑惑に対し、アメリカ合衆国・ニューズウィーク誌12月2日号は、「キム・ヨンチョル弁護士の暴露に端を発するサムスングループのスキャンダルが、“サムスン共和国”の解体だけにとどまらず、“大韓民国株式会社”の姿までもを変えようとしている」と報じた。 特別検事による捜査が進んだ2008年4月17日には李健熙会長ら幹部10人が背任、脱税、証券取引法違反などの罪で在宅起訴された。これにより、李健熙はその責任を取る形でサムスン電子会長職を辞任することを表明し、経営の第一線を退くこととなった。 しかし、その後の公判でソウル地裁と高裁は脱税のみ有罪とし、懲役3年、執行猶予5年、罰金1100億ウォン(約114億円)を言い渡した(同年7月16日・2009年8月14日)。事件の核心となった2件の背任は1件を無罪、残る1件は公訴時効が成立しているとして罪に問えないとした。 2009年12月29日に李明博大統領は平昌オリンピック招致のために李健煕を特別恩赦することを発表した。これを受けて2010年3月24日に李健煕は会長職に復帰した。
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