衣類用防虫剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 10:17 UTC 版)
収納してある衣服に害を与えるイガ、コイガ、カツオブシムシ類などの幼虫を忌避する薬剤。植物の押し葉標本や昆虫の乾燥標本など、生物の学術標本のうち、乾燥状態で保存するものの保存にも使用される。また、白檀・丁字・龍脳・桂皮などの天然素材を用いたものは「防虫香」と呼称され、書画・掛軸・料紙・骨董用に広く用いられる。 古くは天然素材が使われたが、化学合成の発達とともにナフタレン(ナフタリン)が登場し、パラジクロロベンゼン製剤が全盛となった。しかし、これらは刺激臭などが問題になっていたため、日本では1980年代から殺虫剤に用いていたピレスロイド系の化学物質も用いられ、臭わない防虫剤として支持されている。家庭用除湿剤と併用することもあるため、初めから除湿剤と一緒になった防虫剤も市販されている。なお、ナフタリン・樟脳・パラジクロロベンゼン系の防虫剤を比較した実験では、昇華量には大差なく、防虫剤の効果も大きな差は認められなかった。 有効期間は6 - 12か月であり、衣替えの時期に合わせ薬剤の有効作用が薄れるように量が調節されている。よって業界では春、ないしは秋の主力商材としてGMSやドラッグストアなどで販売される。国内シェアの首位はエステー(ムシューダ)であり、以下白元アース(ミセスロイド)、アース製薬(ピレパラアース)または大日本除虫菊(タンスにゴンゴン)と続き、他に大手ではフマキラー(サザン)がある。
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