行政主導の商業核構想の挫折
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 06:51 UTC 版)
「イオン米沢店」の記事における「行政主導の商業核構想の挫折」の解説
昭和30年代中ごろに「カクダイ(かくだい食品、マックスバリュ東北の前身の一つ)」や「十字屋」、「糸屋」、「みどりや」などの食品や衣料品を扱うスーパーが米沢市でも営業するようになって競争が激化し始めた。 それを受けて、米沢市の商業面での求心力を高めようと米沢市と米沢商工会議所が中心になって、移転後の米沢市役所跡地を活用して大型店を設置することを構想したのが始まりである。 当初は、米沢市役所本庁舎跡地には地場資本と福島市に本拠地を置く「中合」が共同で出資する「米沢中合」、分庁舎跡地には地元商店が入居する寄合百貨店「あづま」の建設を行う方向で計画の策定が進められた。 ところが、この米沢市役所跡地の計画とは別に山形市に本拠地を置く「大沼」が米沢店を開設するための申請を行ったため、「米沢中合」と合わせて一気に2つの百貨店が開業を目指す状況となった。 商業の活性化のための中心核となる大型店という構想が進められていたことから1店舗の百貨店が開業することへの理解は進んでいたものの、同時に2店舗が開業することに対しては絶対反対といった強い反発が地元の商業者などから生じることになった。 さらに、両店ともに米沢市街に本拠地を置く資本が中心となるものであったことから、市外資本の進出への反発も重なり、強い反対運動が展開されることになった。 そのため、百貨店法に基づく「商業調整協議会」の第1回で一旦両店の売場面積を申請から共に約17%削減するとの案で決着したかに見えたが、同協議会の第2回で2店舗同時出店と市外資本進出への反対意見が強く出たことから第1回の案は保留となって審議が継続され、第4回では第1回の案が白紙撤回されるに至った。 そこで、「過当競争の自粛」や「米沢市商店街連合会の協同事業への協力」などの条件を課したうえで、売場面積の削減幅をから共に約36.8%削減し、「米沢中合」が約4,070m2、「大沼米沢店」が約3,520m2という形で結審することになった。 この結審を受けて、「大沼米沢店」が、米沢市の中心市街地の一角にある「平和通り」に地上6階建ての店舗を建設し、売場面積約3,511m2で地場資本のテナントも導入する形で、1970年(昭和45年)11月に開業した。 ところが、「米沢中合」は出店せず、名店街協同組合を発足させて進められていた寄合百貨店「あづま」も頓挫して、行政主導の商業核の設置構想は挫折する形となった。
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