著作と業績
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 14:24 UTC 版)
「アル・ジャバルティー」の記事における「著作と業績」の解説
彼の歴史書である『伝記と歴史における事績の驚くべきこと』(アジャーイブ)は、1688年から1821年までの期間を扱った年代記である。19世紀初めまでのエジプト近代を扱った部分では、ムハンマド・アリーやナポレオンについての事実を忠実に記録し、彼らの行為をイスラームの伝統・価値観に照らして批判した。 そのため、エジプト総督に迫害され、1822年6月には彼がムハンマド・アリーの手先に暗殺されたという噂まで流れ、長らく刊行されることはなかった。その一部が発表されたのは1878年、アレクサンドリアの新聞紙上であった。 ジャバルティーの歴史書としては他にも『フランス王朝の撤退における神意の顕現』があり、この書も長く禁書とされ陽の目を見たのはナセル政権下の1958‐59年であった。『ボナパルトのエジプト侵略』(1989年、ごとう書房)という題で一部が邦訳されている。 ジャバルティーは、マムルーク朝の歴史家イブン・イヤース以来とだえたとされていた、編年体形式によるイスラーム年代記の伝統を復興した。彼は自己主張を歴史にこめたわけではなく、伝統文化を護持しようとしたために、かえって改革や失政に対する冷静な批判精神を保つことができたと思われる。そのことをイギリスの文明史家アーノルド・J・トインビーは高く評価し、ジャバルティーを「指導的歴史家」候補の一人として挙げている。また、イギリスの東洋学者であるエドワード・ウィリアム・レインはその著書『エジプトの生活 The Manners and Custums of the Modern Egyptians』で「1688年以来の優れたエジプト史を書き、筆者が初めてカイロを訪れた直後に逝去した」と書き残している。
※この「著作と業績」の解説は、「アル・ジャバルティー」の解説の一部です。
「著作と業績」を含む「アル・ジャバルティー」の記事については、「アル・ジャバルティー」の概要を参照ください。
- 著作と業績のページへのリンク