著作と神学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/26 08:05 UTC 版)
「アンティオキアのセウェロス」の記事における「著作と神学」の解説
彼は非常に多産な著述家だったが、現在では彼の著作は断片しか残っていない。それらがセウェロスのものと同定された限りで、そういった断片は皆ウィリアム・ケイヴとファブリキウスの選集により読める。大部分はシリア語でのみ現存する。 セウェロスは非カルケドン派を厳密に定義された信条を持つ一つの集団にまとめ上げるという大きな目的を達成した。非カルケドン派が細分化していたにもかかわらず、彼は(ドーナーの言葉を借りれば)「厳密に言えば、社会の最もよくまとまった部分の学問的指導者」であり、非カルケドン派からも敵対者からもそのようにみなされた。彼はカルケドン派との長きにわたる激しい闘争の主たる攻撃対象であり、カルケドン派によって彼は非カルケドン派の著述家にして首謀者と呼ばれた。できるだけたくさんの神学的に毛色の異なる人々を取り込むことを望んで、彼はできる限りきっちりと教会の定式化に従ったが、一方でその定式化に彼独自の要素を付け加えた。 セウェロスは『エクメニオスへの手紙』において自身のキリスト論を明らかにしている: 本来的な諸特性、つまり唯ひとりのキリストを形成する神性と人間性について語る人々を異端宣告することは我々にはできない。肉がたとえ神の肉となろうとも、肉は肉として実在するのを止めるのではなく、言(ロゴス)がたとえ理性的で知性を有する魂を所有する肉と実体(ヒュポスタシス)として合一されるにしても、言(ロゴス)はご自分に特有な本性を破棄されるのではない。むしろ、インマヌエルを形成する[二つの]本性の本来的な諸特性の形のもとに、同一性と同様に相違もまた保持される。肉は言(ロゴス)の本性に変容させられるのでも、言(ロゴス)は肉に変化されるのでもないからである。 セウェロスはキリストは一つだけの本性を持つと述べるが、以上の手紙に見られるように、神性と人性という二つの本性の持つ諸特性は全てキリストの本性の内に保存されていると考えていた。
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