英国の法律
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/05 14:08 UTC 版)
英国では生ビールを英式計量(英: Imperial measure、Pint#Effects of metricationを参照)で販売しなければならない。英国の法律では1パイントのビールが実際に1パイントであることを保証するために一定の手順を規定している。これは所謂「計量ディスペンサー」(計量検定済ポンプ)を使用することで保証されるが、より一般的には認定された1パイント・グラスを使用することで保証されている。最近まではグラス表面に王冠マークと番号がエッチングされていたが、EUの指導でEU域内と同調して現在はCEの文字と共に「PINT」の文字をエッチングしなければならないようになっている(保守党は、王冠とCEの双方のマークを使用するようにという運動を行っている)。番号は、グラスの容量を認定した当局と関連している。 この他の計量検定された何らかの手段を使用せずに容量の決まっていないグラスでビールを販売することは違法である。ハーフ=パイントや1/3パイント、2/3パイントのグラスもあり、同じ法律で規定されている。 厳密に規定されたグラスの使用がこれだけ重要視されているにもかかわらず、実際のビールやラガーの1パイントは95%の液量しかない。飲む者には丸々1パイントには足らない量が供されるのが一般的であり、これは泡の頭("Beer head")がグラスの中で多すぎる量を占めているか、単純に顧客が割り引いた量を売りつけられているかのどちらかである。これによりパブの店主は、樽やケグの本来の量よりも多い量のビールを販売することで経費を節約している。こうした行為はビールの液面上分(Ullage:容器内にできる空間)に対する手当てが撤廃されてから増加した可能性がある。これに対して「英国ビールとパブ協会」(British Beer and Pub Association)は、顧客が1パイントいっぱいになるまで「注ぎ足す」ようにと要求した場合にパブの従業員はこれを尊重するようにという指導要綱を発行した。 こうした状況を改善しようという要望があるにも関わらず依然として泡の量が過多な状態でビールが提供されていることから、「線入り」や「大振り」のグラスが取り入れられてきている。これらのグラスは、上縁近くに線が入っており(通常は「pint to line」と刷られている)、泡をその線の位置より上になるようにビールを注ぐように示している。過去に多くのブルワリーがこのグラスを系列のパブに提供していたが現在では稀になり、線入りグラスはビール祭りといった愛好家のイベントや本格的なカスク・エール(cask ale)を提供するパブ、ブルワリー直営パブでしか見かけられなくなっている。線入りパイント・グラスを使用することがリアル・エール運動(Campaign for Real Ale)により推奨されている。しかし、オーストラリアではこの様式のグラスがほぼ一般的である。
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