芸術作品の破壊と検閲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 18:37 UTC 版)
「ケープタウン大学」の記事における「芸術作品の破壊と検閲」の解説
ローズの銅像が撤去されて以来、ほかの芸術作品も撤去や破壊がなされている。FeesMustFall 運動に参加する学生たちは2016年2月にケープタウン大学の歴史的絵画23点を焼却した。 ニュースサイト GroundUp によると、ケープタウン大学にかかわる美術の専門家らは同校の芸術作品に対する不寛容を憂慮しており、同校は、学生の感情を害するため「攻撃される可能性のある」芸術作品をさらに75点撤去・封印したという。 ケープタウン大学は2015年9月に芸術作品タスクチームを発足させ、同校の芸術作品を「変化と包括性の観点から」査定し、「植民地時代の抑圧者を評価ないし称賛しているとみなされうるか、感情を害したり物議をかもしたりする可能性があるかの少なくともいずれかを満たす大学内の作品」および、黒人の描写において「侮蔑的」とみなされる作品を探索していくこととした。画家 Stanley Pinker の Decline and Fall は植民地時代の表象を用いて皮肉な効果を演出したものであり、作家で画家の Breyten Breytenbach の Hovering Dog では黒人が白い仮面をかぶり白人が黒い仮面をかぶっているというものであるが、両者とも撤去された。また、画家 Diane Victor の Pasiphaë はギリシア神話から多くの引喩を行って黒人の農夫を描いたものだが、木製パネルで覆われてしまった。これに対し、Breytenbach は ケープタウン大学はみずから笑いものになったと述べ、Victor はケープタウン大学の行動は「ちょっと冗談みたい」であり、自分の作品が「ものすごく単純なレベル」で理解されているとした。 Academic Freedom Committee の代表 (当時) である Jacques Rousseau は、GroudUp に対し、「ケープタウン大学には法的に問題があるとみなされうる芸術作品が多数あります。そうだとしても、芸術はいずれも潜在的には誰かに対し攻撃的であり、芸術が芸術であるのは、挑発によって熟考を、そしてときに不快さを呼び起こすからなのです」と述べた。Academic Freedom Committee は「学問の自由に対する脅威の直近の事例に関する深い憂慮」を表明している。 South African Human Rights Commission は2017年5月現在この件に関して調査を進めており、ケープタウン大学が憲法の保障する表現の自由、とくに芸術創造の権利に抵触していないか判断するとしている。
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