色覚の共有
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 09:56 UTC 版)
同じ組成の光を受けた場合でも、それをどのように知覚するかは人それぞれの目と脳の相関関係によって異なるので、複数の人間が全く同一の色覚を共有しているわけではない。同様に、ある人が同じ物を見ても右目と左目では角度や距離が異なり、見えた色も一致しない。他者の色知覚を経験する手段は存在せず、同一の色知覚を共有することも不可能である。 また、知覚した色をどのような色名で呼ぶかは学習によって決定される事柄であり、例えば緑色を見て二人の人間が異なる知覚を得たとしても、二人ともそれを「緑」と呼ぶので、色覚の違いは表面化しない。 色覚の違いが表面化するのは、複数の色の区別に困難が生じるなどの場合である。大多数の人間とはっきり異なる判断をおこすものの色覚特性を指して、その生理については色覚異常、機能については色覚障害と呼ぶ。 いわゆるバリアフリーと呼ばれる動向において、色覚異常の者に対する配慮が必要であるという意見がある。他方で、眼科学においては、1型色覚および2型色覚に代表される多くのケースでは、日常生活に大きな支障をきたしていないという考え方が定説とされている。 標準化団体であるW3C は、HTML の色使いは色覚異常に配慮したコントラストを保つべきだとして綱領を出している。HTML は 16,777,216 色(23×8 色)が表現出来るが、環境に依って見え方は左右される。256 色環境で Windows と Macintosh に共通する 216 色(63 色)の事をウェブカラーと言い、この 216 色は見え方が環境の違いに左右され難いため、使用が推奨されている。
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