自動測定機器で評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/17 19:20 UTC 版)
この調査方法は一つの地域のみを対象とする。少しの距離でも土性の違いで測定誤差が生じるため、通常は調査地点を複数とする。同じ地域でこの測定誤差がどれほど生じ得るものなのか、調査前に試験することもある。調査地点に自動計測機器を設置する。この機器は、長期間にわたって野外で環境条件に曝されるよう設計されているものでなければならない。自動計測機器の例を以下に示す。 Closed mode systems この機器を用いた手法を閉鎖型チャンバー法という。機器はチャンバーであり、測定対象の地面に覆い被せる。チャンバーに空気の侵入口がなく、測定地点を外気から隔絶する。測定の間隔と終了時刻が予め設定され、チャンバーが密閉されるとこの機器は大気の二酸化炭素濃度を測定し始める。そして、所定の間隔で測定を続ける。この機器の利点としては、古くから行われており比較的多くの研究者に採用されており、また、測定結果に風の影響がない。この機器を使用する場合は2つの理由から測定時間の上限を設ける必要がある。第一に、機器内部で土壌から二酸化炭素が生じ続けて内部の二酸化炭素分圧が大きくなり過ぎると以降の二酸化炭素の発生が抑制される。第二に、機器内部の環境条件は自然本来のそれと異なるため、測定期間が長くなるほど実際の条件と結果がずれることが考えられる。二酸化炭素の分圧について事前に土壌を試験し、最適な実験期間をあらかじめ設定することが推奨されている。この機器は一般的に土壌温度、土壌水分および光合成有効放射(PAR: photosynthetically active radiation)も測定し記録できる。二酸化炭素濃度の増加の傾きと土壌呼吸速度を決定するために線形回帰分析(Pedersenアルゴニズム)や指数回帰が利用される。この傾きは土壌呼吸速度を F = b V / A {\displaystyle F=bV/A} F は土壌呼吸速度、bは傾き、Vはチャンバーの体積、そしてAは、チャンバーで覆われた地面の面積である。測定期間が長すぎると土壌の最上層に二酸化炭素が蓄積されるため、二酸化炭素濃度の過小評価を引き起こす。 Open mode systems 上記の閉鎖型チャンバーに対して開放型チャンバーと呼ばれる。測定時刻になると測定を二回行う。一回目の測定の後、外気を吸引し、内部に送り込む。同時に内部の空気を同量だけ排出する。これにより、土壌呼吸由来の二酸化炭素はチャンバー内から除去される。外気中の二酸化炭素は測定地点の土壌呼吸由来の二酸化炭素と混合し、ある時間後に濃度は平衡に達する。平衡に達した(と推測される)ときに二回目の測定が行われる。一回目と二回目の測定値の差を土壌呼吸速度とする。閉鎖型チャンバーに比べて外部からの風の影響や、通気することでチャンバー内部で空気の流動が起こる可能性はある。 hybrid system 通気口があり、可能な限り風を侵入させないよう設計されている。この通気口がチャンバー内部の二酸化炭素の蓄積を防ぐ。それ以外は閉鎖型チャンバーと同じである。
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