脱ゆとり教育に対する評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 22:22 UTC 版)
「脱ゆとり教育」の記事における「脱ゆとり教育に対する評価」の解説
ベネッセ教育研究開発センターが全国の公立小学校の校長および教員に行った2011年1学期を対象にした調査によると、「国語では4割、算数では3割弱の教員が授業進度に遅れが出ている」と回答した。児童の変化については、「分かりやすく伝えたり、説明できる児童」、「感じたことを表現できる児童」などの増加がみられたものの、「疲れている児童」や「授業についていけない児童」が増加し、教員の4割が「児童間の学力格差が広がった」と感じている。また、9割以上の教員が「教材研究、教材準備の時間不足」を悩みとしており、「学力が低い児童の学習意欲を保つことの困難性」や「児童間の学力差」も7割以上の教員が悩みとして回答している。 2011年(平成23年)には、小学4年生と中学2年生を対象とした国際数学・理科教育動向調査の結果、小学4年生の学力に改善傾向が見られ、文部科学省は脱ゆとり教育の成果と見ているが、法政大学の左巻健男教授は、「新指導要領への過渡期で、判断は早計。次回の結果を見ないと分からない」と指摘した。 脱ゆとり教育は、ゆとり教育での問題を解決するために作られたのだが、うまく対応できなければついていけない子どもが増えるのではないかと懸念するものもおり、また、暗記や暗唱が中心の教育に戻したり授業時間を増やしたりする方法では日本の教育が抱えている諸問題は解決できないと述べている者もいる。 受験産業の反応としては、学習内容が多くなる、難しくなるという部分を押し出しており、ゆとり教育時の反応とは違う反応を示している。また、ゆとり教育による公立学校不信を背景に起こった私立中学受験ブームも、公立学校での脱ゆとり教育の実施に加え、2008年(平成20年)のリーマン・ショック後の不況や、2011年(平成23年)3月11日以降の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の影響もあり、一時はかなり沈静化した。 私立中学あるいは小学受験ブームこそ控えめになったのかもしれないが、東京大学理科Ⅲ類現役合格者の3人に2人は鉄緑会出身になるなど、階層化は30年前の受験戦争の過去最大時よりも進行している。
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