脊椎動物全般
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 06:15 UTC 版)
脊椎動物全体においては、腎臓には前腎・中腎・後腎の三つがある。発生においては前者から後者へと順に形成され、後のものができるとそれに応じて前のものは退化する。その構造もそれぞれに異なっている。発生の上からは、神経胚期に分化する中胚葉の腎節に由来し、体の背面両側に体軸に沿って伸びる部分から分化する。 その最前方から分化するのが前腎である。前腎では個々には腎細管の先端が体腔に向かってラッパ状に開いたものが並んでおり、その口部には繊毛がある。このような構造は無脊椎動物のいわゆる腎管とほぼ同じものである。しかしここに大動脈から分枝した前腎動脈が入り込んで糸球体を形成する場合もある。いずれにせよそれらの管は集まって前腎小管へと続き、それが総排出腔につながる。無顎類の腎臓は生涯この形である。 中腎は前腎と同じく腎管のような構造を持つ部分もあるが、同時にマルピーギ小体を形成しており、よく発達したものでは次第に体腔に口を開く部分はなくなってマルピーギ小体のみが活躍するようになる。それらから続く管は次第に集まって中臓小管へと続くが、これは前腎小管に由来するものである。中臓は一般魚類や両生類がこれを成体まで持っている。 後腎は腎管のように体腔に開いた口を一切持たず、多数のマルピーギ小体によって血液中の水分などのみを漉し取る構造となっている。それらから続く腎細管は集まって独自の輸尿管によってこれを総排出腔へと導く。爬虫類以上のいわゆる羊膜類の成体の腎臓はすべてこれである。この類では前腎・中腎は発生の段階で出現するがすぐに退化する。 なお、系統的に近いとされる頭索類のナメクジウオでは咽頭部の背面側に腎管が対をなして並び、これが前腎に相同との見方がある。ただし、その排出口は個々に囲鰓腔に開いている。 ネコ科の動物は腎臓で死んだ細胞を除去する仕組みは存在するが、遺伝的な問題で機能していないため、5歳ごろから腎臓病になり、最終的に尿毒症で死に至る。このほかにカワウソも腎臓病になりやすいという。 これ以降の記述は主としてヒトの腎臓についてである。
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