胎児超音波検査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 06:05 UTC 版)
胎児超音波検査には、胎児の発育や胎盤、羊水量をみる一般検査、nuchal translucency(NT)などによりリスクを評価する検査、頭部や心などを調べる精密検査という3つのレベルがある。例えば妊娠12週で胎児の超音波像を描出するとする。通常の検査(一般検査)では心拍、胎動の有無や、胎齢確認のための頭臀長(CRL)を計測することが主な目的となる。もし胎児の腹部に臍帯ヘルニアを思わせる膨らみが観察されれば、生理的臍帯ヘルニアは妊娠10-11週くらいまでしか認められないという専門的な知識があって、初めてこの診断が可能になる。同じ時期の同じ超音波断層法を用いても、どのレベルまで診断しようとするか、発生学、遺伝学、超音波医学にどこまで専門的な知識をもっているかによって、「診断」の意義は大きく変わってくる。目的と性格の違う3つの検査が混同され一連のものとして行われているところに、胎児超音波検査の問題があると考えられる。超音波検査で胎児異常を診断する目的には以下の2つがある。一つには胎児に直接治療を行い、胎児を救命したり重篤な障害が残らないようにするためである。たとえば双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下レーザー手術(FLP)や無心体双胎に対する超音波ガイド下ラジオ波焼灼術などが上げられる。二つ目としては分娩の方法を決めたり、児の出生後に治療の準備をするための目的である。上であげた臍帯ヘルニアなど多くの胎児奇形が対象となる。エコー(超音波検査)は、通常の妊婦検診で実施される。エコーで染色体異常の可能性が指摘された場合において、最終的に異常だった確率は実はわずか数%から30%程度とされ、精度は高くない。
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