胎児性アルコール症候群における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 09:41 UTC 版)
「β-カテニン」の記事における「胎児性アルコール症候群における役割」の解説
エタノールによるβ-カテニンの不安定化は、アルコールへの曝露が胎児性アルコール症候群を引き起こす経路として知られている2つの経路のうちの1つである(もう1つはエタノール誘導性葉酸欠乏症)。エタノールはGタンパク質依存的経路を介してβ-カテニンの不安定化を引き起こす。活性化されたホスホリパーゼCβはホスファチジルイノシトール-(4,5)-二リン酸(PI(4,5)P2)をジアシルグリセロールとイノシトール-(1,4,5)-三リン酸(IP3)へ加水分解する。可溶化されたIP3は小胞体からのカルシウムの放出の引き金を引く。細胞質のカルシウムの急激な増加はカルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(英語版)(CaMKII)を活性化する。活性化されたCaMKIIはβ-カテニンを不安定化する。その機構は特定されていないものの、CaMKIIによるβ-カテニンのリン酸化を伴うものである可能性が高い。こうして神経堤細胞の正常発生に必要なβ-カテニンによる転写プログラムが抑制され、未熟な神経堤細胞のアポトーシスに至る。
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