葉酸欠乏症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 05:18 UTC 版)
妊娠中の葉酸(ビタミンB9)とビタミンB12のレベルが不十分であると、神経管閉鎖障害のリスクが高まることがわかっている 。両方とも同じバイオパスウェイの一部だが、葉酸欠乏症の方がはるかに頻度が高い 。初期のヒト胚は、葉酸欠乏症に対して特に脆弱である可能性があると考えられている。分化に必要な細胞骨格の翻訳後メチル化の失敗は、神経管閉鎖不全症に関係している。ビタミンB12は葉酸バイオパスウェイの重要な受容体でもあり、ビタミンB12の欠乏が神経管閉鎖障害のリスクにも寄与することが示されている。葉酸補給が生物学的に利用可能な葉酸の血清レベルを増加させるという証拠がある 。葉酸が豊富な食事(350μg/日)は、低レベルの葉酸摂取(250μg/日)と同じくらい血漿葉酸の増加を示す。しかし、葉酸強化だけが神経管閉鎖障害を減らすことが分かった。2012年のシステマティック・レビューで、葉酸の補給が癌のリスクを増やすといった証拠はみられなかった。 神経管閉鎖障害、葉酸欠乏症、さまざまな緯度の人間集団内の皮膚の色素沈着の違いの間の関係を示す研究がある。紫外線などの環境因子に関しては、紫外線によって葉酸が光分解され、ヒトだけでなく他の両生類種の神経管閉鎖障害のに関係していることが示されている。紫外線への曝露が年間にわたって多い熱帯地域に住む人間集団では、紫外線からの保護が不可欠である。メラニンは、入ってくる紫外線を分散させる光学フィルターとして、または危険な光化学生成物を安定させるフリーラジカルとして機能する。複数の研究により、ネイティブアメリカンまたはアフリカ系アメリカ人における葉酸光分解に対する防御としての高度にメラニン化した外皮は、一般にNTDの発生率の低下と相関していることが示されている 。
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