抗うつ薬との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 21:51 UTC 版)
生物学的精神医学会世界連合(WFSBP)のうつ病急性期の治療ガイドラインは、抗うつ薬の使用や、気分安定薬と抗うつ薬の併用には信頼性の高い証拠が無いとしている。 多くの気分安定薬は単に「抗躁」剤で、躁病および気分の循環と移行の治療に有効であり、しかしうつ病の治療には有効ではないこと意味する。例外として、炭酸リチウムは躁とうつの症状の両方を治療する。一方で、バルプロ酸やカルバマゼピンのような抗躁剤は、リチウムが可能なようには直接にはうつを治療できず、躁から抜け出し気分が循環するのを予防して保つことによって、双極性患者のうつを防ぐのを助けると考えられている。 それでもなお、うつの相の期間に気分安定薬に追加で抗うつ薬がよく処方される。しかしながら、これはいくつかの危険性をもたらし、抗うつ薬は双極性患者に躁病、精神病、またほかの支障をきたす問題を誘発する—特に単剤で摂取した場合で、気分安定薬と併用した場合にも。うつ相の双極性障害を治療する抗うつ薬の有効性は未知である。 抗うつ薬が双極性患者に与えられた場合、いくつかの危険を招く。それらは急性の双極性うつ病と、再発予防には効果がなく、急速交代(ラピッド・サイクル)の原因になる。ほかの治療や偽薬と比べて抗うつ薬には恩恵がないことを研究は示している。抗うつ薬はまた非致死的な自殺行動の高い比率につながる。再発は抗うつ薬による治療にも相関する。これは抗うつ薬単独で用いるよりも、気分安定薬と抗うつ薬を併用する場合に少なくなるだろう。いくつかの以前の研究からの証拠が急速交代が抗うつ薬の使用に相関していることを示している。急速交代とは、双極性障害の人が1年以内に躁あるいはうつのような気分エピソードを4回以上経験した場合である。これらの問題は抗うつ薬の医薬品が広範な使用になってきて以来、広く認められるようになっている。抗うつ薬の医薬品で双極性患者を治療する際に、それらが引き起こす危険性に関して警告する必要がある。 ラモトリギン、カルバマゼピン、バルプロとその他の気分安定薬と抗痙攣薬の使用は、うつ病を促進する慢性的な葉酸欠乏症を引き起こす可能性がある。同様に、「葉酸欠乏症は、うつ病の危険性を増加させたり、抗うつ薬の作用を軽減する可能性がある」。L-メチル葉酸(正式には5-MTHFあるいはレボフォリン酸として知られる)は、3つの中枢神経系の神経伝達物質の合成を促進する中枢性トリモノアミン調整因子である:ドーパミン、ノルアドレナリンとセロトニン。気分安定薬と抗痙攣薬は葉酸の吸収とL-メチル葉酸の生成を阻害する可能性がある。Lメチル葉酸が増強された医療向け食品は、抗うつの神経伝達物質の合成を促進することで、リチウムと抗うつ薬を含むこれらの医薬品の抗うつ作用を向上させる可能性がある。
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