耕作システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 02:40 UTC 版)
耕作システムは利用可能な資源や制約条件(地形や気候、天候、政府の政策、経済的・社会的・政治的な圧力、農家の経営方針や慣習)によって変化する。 焼畑農業は毎年のように森林を燃やして、解放された栄養素を耕作に利用するシステムで、その後は多年生作物を数年間栽培する。その区画はその後休閑地とされて森林に自然に戻り、10年から20年後に再度焼いて利用する。休閑期間は人口密度が増加すると短くなるため、肥料を導入したり、病害虫管理が必要となってくる。 次の段階は休閑期を設けない耕作システムであり、栄養管理と病害虫管理がさらに必要となる。その後さらに工業化が進展すると、単一作物の大規模栽培システムが登場する。特定の栽培品種だけを作付けすると、生物多様性が低下し、必要な栄養素も均一化し、病害虫も発生しやすくなる。そのため、農薬や化学肥料にさらに頼ることになる。多毛作は1年間に複数種類の作物を次々と栽培するシステムで、間作は複数種類の作物を同時に栽培するシステムである。他にも混作という類似のシステムもある。 熱帯では、これら全ての耕作システムが実際に行われている。亜熱帯や砂漠気候では、農作物の栽培は降雨の時期(雨期)に限定されて1年間に何度も栽培することができないか、さもなくば灌漑を必要とする。それらの環境では多年生作物(コーヒー、チョコレート)が栽培され、アグロフォレストリーのような耕作システムも行われている。温帯では草原やプレーリーが多く、年1回だけ収穫する生産性の高い耕作システムが支配的である。 20世紀は集約農業、農業における集中と分業が進んだ時代であり、農業化学の新技術(化学肥料、農薬)、農業機械、品種改良(交雑や遺伝子組み換え作物)がそれを支えた。ここ数十年間、社会経済学的な公正さと資源保全の考え方や耕作システムにおける環境の考え方と結びついた持続可能な農業への動きもある。この動きから従来の農業とは異なる様々な農業の形態が生まれた。例えば、有機農業、近郊農業、community supported agriculture(地域で支える農業)、エコ農業、integrated farming などがあり、全体として農業の多様化に向かう傾向が明らかとなってきている。
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