羽犬の伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 03:53 UTC 版)
羽犬塚(旧:八女郡羽犬塚町)は八女丘陵の西部、山ノ井川の中流域に位置する地域で、現在の筑後市の中心地区でもある。古くから九州街道(坊の津街道)の交通の要衝で、「稿本八女郡史」によれば「延喜式」兵部省諸国駅伝馬条で筑後三駅の1つとして記述のある「葛野駅」の所在地と推定されている。 地名の由来は、羽柴秀吉の故事によるという。1586年(天正14年)から翌1587年(天正15年)にかけて、秀吉は九州平定のために各地を転戦していた。その軍勢の前に立ちはだかったのが、背中に一対の翼を持つ1頭の犬であった。この犬は普段から自在に飛び回って、旅人を襲ったり家畜を食い殺したりと暴虐の限りを尽くしていた。秀吉の軍勢はさんざん手こずったものの、何とか犬退治に成功した。秀吉は羽犬の強さに感じ入り、「羽犬塚」という塚を築いてその亡骸を手厚く葬ったという。 別の説では、羽犬は暴犬などではなく秀吉の愛育する子犬であった。羽が生えたように元気な子犬を秀吉は慈しんでいたが、子犬はこの地で死んだ(敵の矢に射られたとも病死ともいう)。気落ちした秀吉の様子を見かねた家臣たちは子犬の塚を建てて手厚く葬り、その塚が「羽犬塚」と呼ばれるようになった。 羽犬塚は宗岳寺(浄土宗)の境内に現存する。高さ約2メートルの五輪塔が建てられていて、その表面には「犬之塚」と彫られている。 地元筑後市では「はいん」とも呼ばれ、人気の高い存在である。地元の人々は羽犬は良い犬との説に立ち、郷土の誇りとしている。市内には羽犬の像やオブジェが数か所に存在する。市のPRキャラクター「チク号」と「はね丸」(「チク号」の子孫という設定)は羽犬をモデルにしたものである。羽犬塚駅(JR九州鹿児島本線)の駅名標には、「チク号」が描かれている(冒頭の画像参照)。
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