義務違反への罰則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 00:33 UTC 版)
一方、親の義務違反に対しては、1年から5年の公民権停止、並びに私法上家族法上の権利の停止(1882年法第12条)、家族手当の支給停止あるいは禁止(1959年法第5条)などの罰則があるが、1999年以降、罰則が強化された。 家庭教育を届出なかった場合、従来1000フラン以下の罰金であったが、1998年法第6条で1万フランの罰金とされた。また、大学区視学官による監督の結果、家庭教育が不適切で、就学催告を受けたにもかかわらず、正当な理由なく就学を拒否する場合、これまで1000フランの罰金であったのに対し、1998年法第5条で、6ヶ月以内の拘禁刑及び5万フランの罰金と刑罰が重くされた。さらに、子どもが全く教育を受けていないことが判明した場合は、刑法第227-17条「正当な理由なく、父母等がその法律上の義務を免れ、子どもの健康、安全、素行又は教育を著しく危うくしたときは、2年の拘禁刑及び20万フランの罰金を処する」が適用され、検察に連絡される。 1998年12月8日下院報告書には、こうした措置は、フランス国内で60万人を超えるセクト (新宗教やカルト)対策であったと書かれている。それ以前、1997年6月26日の義務教育強化法案ではセクトに対して「国は必要なあらゆる措置を講じて戦わなけれぼならない」と宣言され、「教育義務 (l'obligation d'instnlction)は就学義務 (l'obligation de scolarite)である」と就学義務制が採られた。セクトが「重大な放任主義」と断罪されるのは、その「教育」が子どもの「良心の自由」や「批判精神」「自主的な判断力」の育成を阻むものであるからとされた。フランス憲法院はフランス憲法が「正常な家庭生活を営む権利」を定めていると確認しており、セクトが民主社会の価値への脅威となり、虐待、性的暴力、洗脳 (endoctrinement)が行われている場合は、国の家庭への介入が正当化される。
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