総括・「家族」「国家」とは何か
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 15:22 UTC 版)
「家族・私有財産・国家の起源」の記事における「総括・「家族」「国家」とは何か」の解説
第九章は全体を理論的に結論づけてまとめた章である。エンゲルスはこう語っている。 「人間もまた一個の商品になりうる、人間を奴隷に転化させれば、人間の力を交換できて利用できる、という偉大な「真理」が発見された。人間が交換をし始めるようになるかならないかのうちに、すでに人間自身もまた交換されるようになった。人間が欲すると否とにかかわりなく、能動態が受動態となった。奴隷制は、文明のもとでその最も十全な展開をみたが、この奴隷制と共に、搾取する階級と搾取される階級とへの社会の最初の大きな分裂が生じた。この分裂は、全文明期を通じて継続した。奴隷制は、最初の古代世界に特有な搾取形態である。これに続くのは、中世における農奴制、近世における賃労働である。これこそが、文明の三大時期に特徴的な隷属の三形態である。公然の、そして最近では仮装した奴隷制度が、いつも文明と併存するのである。 文明の発端となる商品生産の段階は…、(一)金属貨幣、それとともに貨幣資本、利子、高利貸付、(二)生産者間の仲介的階級としての商人、(三)私的土地所有と抵当、(四)支配的生産形態としての奴隷労働。文明に照応し、文明とともに確定的に支配的となる家族形態は単婚であり、男性の女性に対する支配であり、社会の経済単位としての個別家族である。文明を総括するのは国家であり、この国家は…いつも例外なく支配階級の国家であり、どんな場合にも本質的には、抑圧され搾取される階級を抑制するための機関であることには変わりはない。」 ここでは国家の発生についての理論的総括がおこなわれ、この一節はマルクス主義階級国家論の基礎の一つとなった。最後に、エンゲルスは「文明批判」をおこない、文明が金属貨幣と利子、商人、私的土地所有と抵当、奴隷制度を発明して、最終的に人類は奴隷の反乱を防止して階級闘争が内乱へと発展する革命的契機を回避する調停機関として国家を創造したと指摘した。
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