絶版騒動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 02:24 UTC 版)
2011年4月14日、東京都は出版倫理協議会・出版倫理懇親会との会合において、改正された東京都青少年の健全な育成に関する条例が実際に施行(同年7月1日施行)された場合、どういった内容のコミックが規制される可能性があるのかという疑問に答えた。この中で東京都は一例として漫画作品6作品を挙げたが、その6点の中に本作品の単行本第1巻と第3巻も含まれており、施行以降重版すれば不健全指定を検討するとした。これを受け、秋田書店は不健全指定を避けるために本作品を重版しないことを決定、作者の糸杉は「事実上の絶版」を宣言することとなる。 糸杉は「私にとっては、死刑宣告です」と衝撃と落胆を露わにしたうえ、『あきそら』は「成人誌では絶対にできないことを、個人的にはやったつもり」「タブーの理由が判然としないところに魅力がある」と発言して、古来から描かれてきた近親相姦という表現の禁止による出版社の萎縮の危機と、東京都への反発を訴えている。また、この条例の改正が議論に上がったことで製作現場は萎縮し、編集者からは性描写を抑えるように言われ、結果的に条例施行前に無理矢理作品を終わらせ、最終巻を出すことになったと明かしている。 2018年5月7日には、マンガ図書館Zで全巻が無料公開された。絶版宣言当時、編集者からは「Jコミ(現マンガ図書館Z)に身売りしたら特装版とか出せなくなりますよ」と言われていたが、7年が経過した現在では編集者がすでに現場にいないうえ、海賊版や違法ダウンロードが蔓延するようになった現状もあり、違法ではない方法で読める状況を作ろうと考えたところに赤松健の「都条例は決めるのは簡単だけど取り下げるのは不可能」という言葉が決定打となり、実現に至ったという。 2020年、描き下ろしの表紙と、連載当時のカラーや特別カラーイラストを収録した『完全版』全6巻が、Jコミックテラス×ナンバーナインからKindle版として発売された。
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