経済成長とその問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 00:25 UTC 版)
経済成長には資源制約がある。古くは森林の量が経済的発展を制約していた。今日においても労働力・土地・天然資源などにより経済成長には制約がある。オイルショック以後の低成長、1980年代の原油価格の下落に支えられた好景気などは、その歴史的な一例である。 産業革命以後は経済成長が大量の汚染を発生させるようになった。環境問題の多くは、何らかの生産活動の結果として生じたものであり、その規制(環境政策)は経済活動の抑制にもつながる。経済と環境はいわばトレードオフの関係にある。 地球温暖化防止に関する経済学的研究は、経済成長率を下げずに、地球温暖化を防止することができることを示している。日本経済は、1973-1986年にかけてGDPは年率平均3.4%成長したが、CO2排出量は年率平均0.3%減少している。一方で1987-1995年にかけてGDPは年率平均3.1%成長したが、CO2排出量は年率平均2.9%増加している。つまり、経済が成長してもCO2は必ずしも増加するわけではない。公害規制が経済成長を阻害したという形跡は見当たらないし、規制のおかげで産業公害と都市公害は急速に改善された。環境保全は経済成長にとってマイナスどころか、少なくとも先進国にとっては、経済成長の原動力となる。 GDPではなく識字率や幼児死亡率などの方が、経済の豊かさの指標として望ましいという見方もある。ただし、GDPが大きくなると、実際に識字率・幼児死亡率はほぼ比例的に改善していく。また、経済成長が環境・天然資源の影響を計測した「グリーンGDP」という概念も提唱されている。 「市場の失敗」および「外部性」、「公共経済学」、および「環境税」も参照
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