経営改善の試み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 02:37 UTC 版)
多くの国では1960年代以降、国鉄の経営悪化とその改善が大きな問題となった。イギリス国鉄は1963年、ビーチング・アックスと呼ばれる大規模なローカル線の廃止やサービスの統廃合を進め、西ヨーロッパ諸国や日本でも同じような動きが進められた。 日本では、1987年に「国鉄分割民営化」が行われ、列車を運行する鉄道事業者が路線等の固定資産も保有しそれを独占使用する「垂直統合組織」(vertically integrated organisation)の形態を維持したまま、国有資産であった鉄道資産および事業を民有とする政策が実施されたが、構造上競争原理の導入が期待できないこうした垂直統合型の商事法人化を行った国は日本のほかロシア(2003年)、ベトナム(2010年)など、アジア圏や旧ソ連圏などの一部にすぎず、世界的にはあまり行われていない。 ヨーロッパなど多くの国では、商事法人化を主目的とする民営化ではなく、国鉄網を利用した列車運行事業の国家独占を解消する「鉄道自由化」による経営改善が行われた。具体的には、道路交通や海運、航空のように施設保有管理(運行管理を含む)事業と列車運行事業を切り離すもので、固定鉄道資産については国民の公共財産として国家機関または国家資本による事業体が管理維持しつつ、その施設を民間事業者に広く開放し利用料を徴収する「オープンアクセスオペレーター」制度を導入した。 その前提として、国鉄事業から分轄された列車運行事業体について、多くの国で新規参入が見込まれる純民間資本の事業者と同等の商事法人に転換させる形態が採られた。株式を民間会社または他国の国鉄系事業者に売却した一部の国の貨物列車運行事業体を除き、現在もほとんどの国の事業体が当該国の国家資本による企業(国有企業)であり、純民間資本の事業者とともに列車運行事業を継続している。
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