細菌との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 07:57 UTC 版)
細菌と古細菌は共通の祖先を有する可能性が高い。DNAやたんぱく質が脂質二重膜よりなる細胞膜につつまれる構造は全生物に共通する。コドンなど基本的な遺伝の仕組みも共通している。一方で、細胞膜の成分やDNA複製系は全く異なっており、両者が分かれたのは非常に古いと推定される。 ウーズが最初に描き出した系統樹は無根系統樹であり、共通祖先がどの位置にあるかは確定できないものであった。例えば、真核生物と原核生物が最初に分かれた後、原核生物が細菌と古細菌に分かれた、あるいは細菌と古細菌が最初に湧かれた後、細菌から真核生物が進化した、もしくは細菌の中に共通祖先があり、細菌の一系統から古細菌や真核生物が進化した、など様々に解釈できる。この問題は、16S rRNAなどの遺伝子の単純な解析では導き出せないが、共通祖先以前に重複、その後独立して進化した遺伝子を比較することで可能となる。1989年に、H+-ATPアーゼ、伸長因子、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼなど共通祖先以前に分かれた遺伝子を用い、共通祖先がまず細菌と古細菌類に分岐したことが明らかになった。時期的には前述のとおり、30億年よりも遥かに遡る古い時代に起こったと考えられる。 これ以外の説としては、共通祖先は現代的な細胞膜やDNA複製の仕組みを持っていなかったとする説もある。アルカリ熱水泉の細孔で生命が誕生したとすれば、透過度の低い細胞膜は必要ではない。古細菌と細菌はそれぞれ独立に細胞膜やDNA複製の仕組みを獲得し、別々に細孔から脱出したとする。また、トーマス・キャバリエ=スミスらは、最初に細菌が多様化した後、細菌の一グループである放線菌の中から真核生物と古細菌の祖先が出現したネオムラ説を提唱している。他の細菌との違いは、高温への適応や、細菌間での化学戦の産物であるとする。放線菌は外膜の無い単膜細菌(MD細菌)であり、膜が一重であることが古細菌と共通する。Hsp70やグルタミン合成酵素 Iなどから得られる系統樹がネオムラ説を支持するという。
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