細菌における電子伝達鎖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:41 UTC 版)
「電子伝達系」の記事における「細菌における電子伝達鎖」の解説
一般的に、細菌の電子伝達経路は誘導可能である。その環境に応じ、細菌は異なる貫膜複合体を合成し、細胞膜内に異なる電子伝達鎖を作り出す。細菌は、複数の脱水素酵素、末端オキシダーゼ及び末端レダクターゼを含むDNAライブラリーから電子伝達鎖を選択する。このことから、細菌の電子伝達鎖は、分岐式、モジュール式、誘導可能であると言われる。 フマル酸脱水素酵素 真核生物では、NADHは最も重要な電子供与体である。関連する電子伝達鎖は、以下の通りである。NADH → 複合体 I → ユビキノン → 複合体 III → シトクロム c → 複合体 IV → O2 ここで、複合体I、III、IVはプロトンポンプ、ユビキノンとシトクロムcは電子キャリアであり、電子受容体は酸素分子である。 細菌や古細菌等の原核生物では、電子供与体や電子受容体は種類がさらに多いため、状況はより複雑である。一般的な細菌の電子伝達鎖は、以下のようなものである。 電子供与体→ 脱水素酵素 ↓電子供与体→ キノン →オキシダーゼまたはレダクターゼ→電子受容体 ↓ bc1 ↓電子供与体→ シトクロム →オキシダーゼまたはレダクターゼ→電子受容体 電子は、脱水素酵素、キノンプール、シトクロム電子キャリアの3つの位置から電子伝達鎖に入ることができる。この3つの位置は、その後のより小さな、酸化還元反応全体に対するギブス自由エネルギーの変化に対応する。 個々の細菌は、しばしば同時に複数の電子伝達鎖を用いる。細菌は、多くの異なる電子供与体、脱水素酵素、オキシダーゼやレダクターゼ、電子受容体を用いることができる。例えば、大腸菌は(グルコースをエネルギー源として好気的に育てると)、2種類の異なるNADH脱水素酵素と2種類の異なるキノールオキシダーゼを用い、合計で4種類の異なる電子伝達鎖が同時に動いている。 全ての電子伝達鎖の共通の特徴は、プロトン勾配を作るためのプロトンポンプの存在である。細菌の電子伝達鎖には、ミトコンドリアと同様に3つか、または1ないし2つのプロトンポンプを持つ。
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