細菌による耐性の獲得
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 06:08 UTC 版)
「マクロライド系抗菌薬」の記事における「細菌による耐性の獲得」の解説
マクロライド系抗菌薬に対する、細菌による薬物耐性の獲得は比較的起こり易く、臨床上の重大な問題になっている。細菌の耐性の獲得は、細菌のDNAの変異によって発生する場合だけでなく、プラスミド介在性で、細菌から細菌へと伝達され得るため、問題は深刻である。なお、細菌の耐性化に以下のような機序が考えられている。 リボゾームのマクロライド系抗菌薬が結合する部位が変異する。 マクロライド系抗菌薬の透過性を、細菌が低下させる。 マクロライド系抗菌薬を、細胞外に排出する仕組みを細菌が獲得する。 マクロライド系抗菌薬のラクトンを分解して不活化する酵素を、細菌が産生するようになる。 さらに、1種類のマクロライド系抗菌薬に耐性を獲得すると、他のマクロライド系抗菌薬や、他の系統の抗菌薬にも同時に耐性を獲得する、交差耐性と呼ばれる現象が発生する。 なお、かつてマクロライド系抗菌薬は、市中肺炎に対して有効であったものの、2007年現在、市中肺炎の起因菌の8割がマクロライド系抗菌薬に耐性を持つに至っている。このような状態でマクロライド系抗菌薬を使用すれば、効かないばかりか、かえって患者の状態を悪化させ得る。そのため、マイコプラズマ、クラミジア、非定型抗酸菌、ヘリコバクターピロリ、カンピロバクターに使う程度と、マクロライド系抗菌薬を使える菌種が少なくなった。
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