非定型抗酸菌とは? わかりやすく解説

非結核性抗酸菌

(非定型抗酸菌 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/09 04:13 UTC 版)

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非結核性抗酸菌(ひけっかくせいこうさんきん、non-tuberculous mycobacteria; NTM, mycobacteria other than tuberculosis; MOTT)[1][2])とは、結核菌群と癩菌群を除いた培養可能な抗酸菌の総称。以前は非定型抗酸菌(atypical mycobacteria)とも呼ばれていた[2][3]。生活環境中に広く分布する[4]

細菌学的特徴

現在では分子生物学が発展し、DNARNAにより菌の遺伝学的性質や代謝について明確に分類できる。しかし、かつては培地・培養温度による発育の違い、化学物質の代謝の違いなどを用いる事でしか、菌を分類することができなかった。そのため結核菌と癩菌が典型的な抗酸菌であり、その他の抗酸菌は非定型な特殊な抗酸菌とみなされていた。技術の発展に伴い、分子生物学的に多くの抗酸菌が分類されることとなり、むしろ結核菌群と癩菌群が特殊な菌であり、いわゆる「非定型抗酸菌」が抗酸菌としての一般的な性質をもつことが判明したため、「非結核性抗酸菌」と呼ばれるようになった。

  • 小川培地
    ナイアシンテストを用いて小川培地上で培養すると、抗酸菌の種類により発色が異なる[5][6]。結核菌はナイアシン産生能が高いことを利用している。

病原性

ヒトでは、全身のいずれの臓器でも感染する可能性はあるが、現実的には、日和見感染でない場合には、ほとんどがでの感染症である。感染力は弱く、土壌からの感染が主と考えられている。ヒト→ヒト感染は、ほとんど無いとされている。

免疫不全状態での日和見感染症である場合には、全身での播種性非結核性抗酸菌症を発症することがある。近年、日本でも癩病ではない皮膚非結核性抗酸菌症が確認されている(Mycobacterium marinum, Mycobacterium peregrinumなどによる)[7]

検査

培地での培養には時間がかかり、また M. aviumM. intracellulare の区別がつかないなど、分別能に劣る点がある。しかし、薬剤耐性などは培養でなくては判別できないため、現在ではPCR法等のDNA/RNAを用いた検査を併用する[8][9]

参照・引用

  1. ^ 非結核性抗酸菌症”. 病気を知る:肺と気道の病気. 慶應義塾大学病院 (2010年3月1日). 2011年3月21日閲覧。
  2. ^ a b 青木正和「シリーズかたき病:結核(10):非結核性抗酸菌症(1)」 (pdf) 『複十字』第319号、結核予防会、2008年1月、 p.10、2011年3月21日閲覧。
  3. ^ 遠藤美代子「非結核性抗酸菌による感染症」『東京都微生物検査情報』第27巻第2号、東京都健康安全研究センター、2006年2月、 ISSN 0910-53522011年3月21日閲覧。
  4. ^ 宮本幹、山口義夫、笹津備規、環境中のレジオネラ属菌および非結核性抗酸菌の分布調査 『環境感染』 2000年 15巻 2号 p.127-132, doi:10.11550/jsei1986.15.127
  5. ^ 非定型抗酸菌(2009年8月18日時点のアーカイブ) - 山本研究室
  6. ^ ナイアシンテストについて
  7. ^ 日経メディカル No.520: 81-82。
  8. ^ 青木正和、片山透、山岸文雄 ほか、PCR法を利用した抗酸菌DNA検出キット (アンプリコアTMマイコバクテリウム) による臨床検体からの抗酸菌迅速検出 『結核』 1994年 69巻 10号 p.593-605, doi:10.11400/kekkaku1923.69.593
  9. ^ 呼吸器内科−抗酸菌症(結核と非結核性抗酸菌症)のお話し(2013年11月25日時点のアーカイブ) - 独立行政法人国立病院機構 東徳島医療センター

参考文献

  • 御手洗聡、高木明子、『非結核性抗酸菌』 臨床検査 Vol.58 (11), 2014/10/30, p.1405-1408, doi:10.11477/mf.1542200071

関連項目

外部リンク


非定型抗酸菌

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マクロライド系抗菌薬」の記事における「非定型抗酸菌」の解説

クラリスロマイシンは非定型抗酸菌の治療エタンブトール併用する場合がある。

※この「非定型抗酸菌」の解説は、「マクロライド系抗菌薬」の解説の一部です。
「非定型抗酸菌」を含む「マクロライド系抗菌薬」の記事については、「マクロライド系抗菌薬」の概要を参照ください。

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