細胞障害機構による分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/23 01:59 UTC 版)
「細胞溶解素」の記事における「細胞障害機構による分類」の解説
細胞溶解素はその傷害メカニズムにより3つのタイプに分けられる。 真核細胞の脂質二重膜のリン脂質を溶解させるタイプ。代表的なものにはウェルシュ菌α毒素(ホスホリパーゼC)、黄色ブドウ球菌β毒素(スフィンゴミエリナーゼC)およびVibrio damsela毒素(ホスホリパーゼD)がある。 ファラン(Farlane)らは、1941年にウェルシュ菌α毒素の分子メカニズムを調べ、細菌性タンパク質毒素研究の先駆けとなった。 界面活性剤のように作用して膜の疎水性領域を攻撃するタイプ。このタイプの例には、各種Straphylococcus属細菌(Straphylococcus aureus、S. haemolyticusおよびS. lugdunensis)由来の26アミノ酸δ毒素、Bacillus subtilis毒素およびPseudomonas aeruginosa由来の細胞溶解素が含まれる。 標的の膜に膜孔を形成するタイプ。このタイプの細胞溶解素は、膜孔形成毒素(pore-forming toxin:PFT)と呼ばれており、細胞溶解素で最大のグループである。例としては、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)由来のパーフリンゴリジンO、大腸菌(Escherichia coli)由来の溶血素、およびリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)由来のリステリオリシンOが挙げられる。このタイプの細胞溶解素の標的は、一般的な細胞膜から、コレステロールや食細胞膜などのより特異的な細胞膜にも及ぶ。
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