系統樹の作成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 08:44 UTC 版)
距離行列法は、作成した距離行列からどのように系統推定を行うかによって複数種類に分類できる。 UPGMA 日本語では平均距離法、群平均法、非加重平均結合法などと呼ばれる。 距離行列中で最小の要素を持つ組を最も近縁な組として接続し、それぞれの系統の枝の長さを進化距離の半分ずつ与える。この過程を繰り返して系統樹を作成する。距離行列法の中で最も単純な手法である。 進化距離の枝ごとの一定性を仮定しているため、一般に一定性が成り立たない自然界では正確性が低い一方、分岐年代を系統樹上に表示できるため分子時計を仮定できるデータの解析に適している。 近隣結合法 進化距離を計算した全ての分類群を放射状の星型系統樹上の節に配置する。2つの節を1対1で結合した系統樹を作成して系統樹全体の枝長を計算し、それが最小となる組を最も近縁(近隣)と見なし、その操作を繰り返して系統樹を作成する。UPGMAを改良した手法である。 進化距離の一定性を仮定しないため、系統によって進化速度に差が存在する場合でも正確性の高い系統樹を作成できる。正確性と計算速度の速さゆえに、距離行列法の中でも広く用いられている。 最小進化法(英語版) UPGMAや近隣結合法が各ステップで最小進化原理を適用していたのに対し、この手法では考えられる全ての系統樹で樹形全体の枝長を求め、最も総枝長の短い系統樹を選択する。計算量が多く必要な計算時間が長いため、近隣結合法による系統樹を初期系統樹として最適樹を探索する方法が一般的である。 系統的最小二乗法(英語版) 最小二乗法により、最小進化法と同様に系統樹全体に最小進化原理を適用する。やはり系統樹探索に時間を要する。
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