精度と誤差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/02 13:37 UTC 版)
「有限差分係数(英語版)」も参照 解の誤差とは、真の解析解と近似解との間の差として定義される。有限差分法における誤差の原因は丸め誤差および打ち切り誤差または離散化誤差である。 問題に対する解の近似に有限差分法を用いるためには、まず初めに問題の領域を離散化しなければならない。これは普通は、その領域を一様な格子に分ければよい。これは有限差分法がしばしば「時間刻み」な仕方で微分に対する離散的な数値近似の集合を提供することを意味することに注意。 f ( x i ) = f ( x 0 + i h ) {\displaystyle f(x_{i})=f(x_{0}+ih)} . 一般に注目すべきは局所打ち切り誤差(英語版)で、典型的にはこれを O-記法で表す。局所打ち切り誤差は、各点における誤差について言うもので、真値 f'(xi) と近似値 f'i との差 f ′ ( x i ) − f i ′ {\displaystyle f'(x_{i})-f'_{i}} である。この誤差の評価には、テイラー展開の剰余項を見るのが簡便である。式 f(x0 + h) に対するテイラー展開のラグランジュ型剰余項 R n ( x 0 + h ) = f ( n + 1 ) ( ξ ) ( n + 1 ) ! ( h ) n + 1 ( x 0 < ξ < x 0 + h ) {\displaystyle R_{n}(x_{0}+h)={\frac {f^{(n+1)}(\xi )}{(n+1)!}}(h)^{n+1}\quad (x_{0}<\xi <x_{0}+h)} から、局所打ち切り誤差の支配項が求められる。例えば、一階差分近似 (n = 1) を考えれば f ( x 0 + i h ) = f ( x 0 ) + f ′ ( x 0 ) i h + f ″ ( ξ ) 2 ! ( i h ) 2 {\displaystyle f(x_{0}+ih)=f(x_{0})+f'(x_{0})ih+{\frac {f''(\xi )}{2!}}(ih)^{2}} である。この右辺は有限差分法で得られる近似値である。一方、0階差分近似(n=0)を考えれば f ( x 0 + i h ) = f ( x 0 ) + f ′ ( x 0 ) i h {\displaystyle f(x_{0}+ih)=f(x_{0})+f'(x_{0})ih} よって、0階差分近似での支配的な誤差は f ″ ( ξ ) 2 ! ( i h ) 2 {\displaystyle {\frac {f''(\xi )}{2!}}(ih)^{2}} であり、この剰余項(n=1)が局所打ち切り誤差の支配項である。この場合、局所打ち切り誤差はほぼ刻み幅(h)の2乗に比例するということになる。有限差分法の近似解の精度と計算量は方程式の離散化の仕方や刻み幅の取り方に依存する。これらは刻み幅を小さくするにつれ著しく増加するから、実用上は必要な精度と計算時間を天秤にかけて十分合理的な条件で近似を行う。時間の刻み幅が大きければ多くの場合に計算速度は早くなるが、大きくしすぎると不安定性を生じ、データの精度に問題がでる。 数値モデルの安定性を決定するために、フォン・ノイマンの安定性解析を用いるのが普通である。
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