精度の低さ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 02:22 UTC 版)
万有引力が非常に弱い力であり、静電遮蔽のような効果を用いて周囲の物質による影響が除去できないため、万有引力定数の測定が非常に難しい。 上に示したCODATA 2018の値にも、2.2×10−5 の相対標準不確かさがあり、また以下の表に示したCODATA推奨値の仮数も小数第2位の 6.67 までしか確定しておらず、この不確かさ(誤差)は様々な重要な物理定数の中では最も大きい。 このように、仮数(小数)の精度が著しく低いため、CODATA推奨値も時代と共に以下のように変遷している。CODATA 2018推奨値とCODATA 2014推奨値との差は、3.3×10−5 もあり、基礎物理定数としては変化が極めて著しい。 万有引力定数のCODATA推奨値の変遷推奨値 G (10−11·m3·kg−1·s−2)相対標準不確かさ (Standard uncertainty)1973 CODATA 6.6720(41) 6.1×10−4 1986 CODATA 6.672 59(85) 1.3×10−4 1998 CODATA 6.673(10) 1.5×10−3 2002 CODATA 6.6742(10) 1.5×10−4 2006 CODATA 6.674 28(67) 1.0×10−4 2010 CODATA 6.673 84(80) 1.2×10−4 2014 CODATA 6.674 08(31) 4.7×10−5 2018 CODATA 6.674 30(15) 2.2×10−5 また、NISTにおいては以下の値が推奨されている。 万有引力定数 G の推奨値の変遷年G (10−11·m3⋅kg−1⋅s−2)相対標準不確かさ出典19696.6732(31) 4.6×10−4 19736.6720(49) 7.3×10−4 19866.674 49(81) 1.2×10−4 19986.673(10) 1.5×10−3 20026.6742(10) 1.5×10−4 20066.674 28(67) 1.0×10−4 20106.673 84(80) 1.2×10−4 20146.674 08(31) 4.6×10−5 20186.674 30(15) 2.2×10−5 万有引力定数の精度が4桁程度しかない(小数点以下が2位までしか確定していない)ことは、連星パルサーの質量の測定精度などにも影響する。また、ミリメートル以下の範囲 (μm, nm クラスなど)でニュートンの万有引力が精度良く確かめられていないことから、小さなスケールでは重力理論の変更を考慮する余地が残されていて、近年、小さなスケールで余剰次元を持つ5次元膜宇宙モデル(ブレーンワールドモデル)が盛んに研究されている。
※この「精度の低さ」の解説は、「万有引力定数」の解説の一部です。
「精度の低さ」を含む「万有引力定数」の記事については、「万有引力定数」の概要を参照ください。
- 精度の低さのページへのリンク