粒子の個数と物質量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/28 22:13 UTC 版)
日常的には、物質の量は「2リットルの水」のように体積で表すか、「5キログラムの食塩」のように質量で表すことが多い。しかし、目に見える大きさの物質は、原子、分子、イオンなどの目に見えないほど小さな粒子(これらの粒子やこれら粒子の組み合わせを物質の要素粒子という)から構成されていて、不連続構造をもつ。そのため、物質の量を、物質を構成する要素粒子の数で表すことも可能である。目に見えるか見えないかくらいの少量の物質でも莫大な数の要素粒子からできているので、要素粒子の個数そのものではなく、要素粒子の個数を非常に大きな定数で割ったもので物質の量を表す。この大きな定数をアボガドロ定数といい、要素粒子の個数をアボガドロ定数で割ったものを物質量という。アボガドロ定数は物質の種類や温度、圧力などにはよらない定数なので、要素粒子の個数と同様に物質量でも物質の量を表すことができる。 例えば、三千兆個(3×1015個)の分子からなる物質の量は、物質量で表すと 5 ナノモル (5×10−9 mol) になる。この関係は分子・原子の種類や温度にはよらない。三千兆個の水分子からなる水の物質量は 5 ナノモルであり、三千兆個の炭素原子からなるダイヤモンドの物質量も 5 ナノモルである。また、三千兆個の水分子を含む水蒸気の物質量は、三千兆個の水分子から構成される氷の物質量と等しく、5 ナノモルである。 粒子の個数そのものは不連続な離散量であるが、それが莫大な個数なので、物質量は体積や質量と同様に連続量として扱える。つまり、物質量を微分したり物質量で微分したりすることができる。例えば反応速度論において、物質 X の生成速度は物質量の時間微分 dn(X)/dt や物質量濃度の時間微分 d[X]/dt で与えられる。あるいは熱力学において、系のギブズエネルギーが温度 T、圧力 p、物質量 n(X1), n(X2),···, n(XC) の関数として与えられているとき、ギブズエネルギー G を物質量 n(Xi) で偏微分すると成分 Xi の化学ポテンシャル μi が得られる。
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