籠城準備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/25 10:08 UTC 版)
ゴードンはハルツームからの撤退の準備をするのではなく、この都市をアンサール(マフディー運動の参加者)から死守すると宣言して住民を歓喜させた。彼は住民の支持を得るために拷問の廃止、税金の免除などを行い、さらにハルツームの経済が奴隷貿易に頼っていることを認識して以前自身が廃止した奴隷制を復活させた。これはイギリス本国で議論を呼んだがハルツーム市民から喝采を浴びた。 この時ハルツームにはライフルで完全武装した守備兵7,000人と市民27,000人、半年分の食糧と数百万発の弾薬、毎週50,000発の弾薬を製造できる設備を有していた。また、ゴードンは女性と子供、病人をエジプトへ送り始め、包囲が始まるまでにおよそ2500人がハルツームから逃れたがそのために200人の守備兵が失われた。 ゴードンは街の防衛にも力を注いだ。ハルツームは北と東に青ナイル、西に白ナイルが流れており、川岸を守るために蒸気船を改造させ、装甲に覆われた小型の砲艦を9隻作らせた。砂漠の開けた南側には古代の要塞があり、それを修復、活用しつつ綿密な塹壕陣地を構築し、さらに即席の対人地雷を大量に敷設した。 しかし前述のようにハルツームの守備兵の士気は低く規律は乱れており、ゴードンは守備兵の中でもエジプト人、トルコ人、北部スーダン人の兵士を「略奪はできるが戦闘能力は皆無」と酷評した。唯一彼が高く評価していたのが南スーダン出身の元奴隷の黒人兵士であった。マフディー軍が黒人を奴隷にすることはよく知られていたため、彼らは再び奴隷になるよりは自由人として死ぬことを覚悟していたため、非常に士気が高かった。よって守備隊の主力はこの2300人の黒人兵士となった。
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