筋強直性ジストロフィー1
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/07 09:17 UTC 版)
「筋強直症候群」の記事における「筋強直性ジストロフィー1」の解説
筋強直性ジストロフィー(DM)は大きく分けてDM1とDM2に分かれる。日本では99%がDM1であるため、ここではDM1を中心に記載する。DM1は人口10万人あたりで4.9~5.5人程度と言われている。染色体19q13.3の異常でありこの遺伝子はプロテインキナーゼでありDM protein kinase(DMPK)(en:Myotonin-protein kinase)といわれる。遺伝子変異はCTGリピートの繰り返し配列の挿入であり、表現促進現象も認められる。通常ではこのCTGリピートは5~35回であるが患者では50~2000回にも及ぶ。遺伝形式は常染色体優性遺伝である。臨床症状は非常に多彩であり骨格筋以外に神経系、内分泌系、免疫系、循環器系と多くの臓器が侵される。中枢神経系としては知的障害、情緒異常、眼症状としては白内障、網膜色素変性、脱毛、内分泌異常(副腎、下垂体機能異常、インスリン分泌異常)、IgG低値を認めることがある。CKは正常ないし、軽度上昇を示すことが多い。骨格筋の異常としてはミオトニアの他に進行性の筋萎縮と筋力低下が認められる。慢性進行性の経過であり歩行不能となり嚥下障害や呼吸障害を合併するようになり、50歳後半で呼吸不全で死亡することが多い。多くは30歳前にミオトニアで発症する。遺伝子検査で診断される場合が多い。 筋病理ではいくつかの特徴的な所見が知られている。高頻度に中心核(内在核)がみとめられ、病期の進行とともに核は増加し、複数となる。sarcoplasmic massなど筋線維内の局所的な変性が認められる。しばしば縁取り空胞(rimmed vacuole)や赤色ぼろ線維(ragged-red fiber)、輪状線維(ring-binden fiber)も認められる。タイプ1線維(赤筋)が小径化しsarcoplasmic massを伴って変性する。type2線維(白筋)は2Cを介してタイプ1線維への変換が起こっている。小角化線維やfiber type groupingといった脱神経筋に特徴的な変化も認められる。
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