第2話『人喰い蛾』未放映バージョン
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「怪奇大作戦」の記事における「第2話『人喰い蛾』未放映バージョン」の解説
放送順では第2話となっている「人喰い蛾」は本来は第1話を想定して作られたが、初号試写の後、追加シーンの撮影・編集や合成のやり直し・BGMの一部差し替えなどが行われたために完成が遅れ、第2話として放送されることになった。プロデューサーの橋本洋二は自分がリテイクを決めたと語っている。その理由として、「現代社会の歪みの生み出した怪奇を描くドラマなのに、人間が蛾に溶かされる冒頭シーンの特撮がグロテスクな印象を与えないようにと考えたのか控えめで、テーマである怪奇を描き切れていなかった」という趣旨のことを語っている。また金城哲夫の脚本にあった息抜きのシーンも、ドラマのテーマを考えると余計であると考えたともいう。 一方で、試写終了後の会場で円谷英二が円谷一に直接に具体的なリテイクの指示を行なったという証言もあり、その結果、人間が溶けるシーンの特撮は全面的に撮り直し、マルス自動車の西条が蛾に襲撃されるシーンの追加(何者かが西条に向けて蛾を放つシーンが追加され、偶発的な事故ではなく意図的な殺人事件であることが強調される)撮影され、さおりと次郎が牧の要請で実験材料とする蝶を採集するシーンはカットとなった。「第1話は金城哲夫が脚本を書き、円谷一が監督する」という『ウルトラマン』『ウルトラセブン』と続くパターンが崩れたことは金城にも大きな影響を与えることとなった。樋口の著作では、この出来事が、直後の金城の円谷プロ退社の要因のひとつにもなったことを示唆している。 前述のとおり未放映バージョンは本編の一部シーンやBGMが異なるほか、エンディング映像も全く異なっている。また、1968年当時の出版物等でSRIの装備メカとして紹介されながら放映版では一度も使用されなかった「ケミカルメース」が、このフィルムで唯一登場する。 1988年に読売テレビで放送された特番『なんたってウルトラマン』内で円谷作品の歴代主題歌映像が流された際、偶然このフィルムのエンディング映像が使用され、未放映バージョンの存在が公に知られることとなった。その後、LD「妖鬼幻想スペシャル」の特典映像として初ソフト化され、LD-BOX、DVD-BOXにも収録されている。
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