第一論文 「善と悪」・「よいとわるい」とは? わかりやすく解説

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第一論文 「善と悪」・「よいとわるい」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/16 02:31 UTC 版)

道徳の系譜」の記事における「第一論文 「善と悪」・「よいとわるい」」の解説

この論文では、ニーチェが『人間的なあまりに人間的な以来ほのめかしてきた君主道徳奴隷道徳の間の区別説明される。これら二つ相異なる道徳様式は、それぞれ一対対立概念対応しているニーチェによると、特権階級は、自分たち自身行為を「よい」("gut")と定義した。この場合の「よい」とは、「高貴な」、「貴族の」、「強力な」、「幸福な等々という意味である。その一方で、彼ら君主たちは、他の卑しい人々行為を「わるい」("schlecht")とみなした。ただし、この場合の「わるい」とは、「素朴な」("schlicht")、「平凡な」、「貴族でない」という意味であってことさらそれらの人々対す非難ニュアンス込められているわけではない特権階級従属する卑しく貧しくて不健康な人々、つまり「奴隷」によって価値序列逆転される。彼らの感情は、ルサンチマン基づいており、彼らはまずもって他者を「悪人」、すなわち「悪しき敵」とみなす。そして、その後ではじめて、彼らはまさしく悪人対立する者として、自分たち自身を「善人」と定義する換言すると、彼らは「悪」("böse")でないがゆえに、「善」("gut")である。つまり、貴族にとっての「よい」という概念能動的であるのに対して奴隷の「善」概念反動的なのであるニーチェは、二番目価値様式ユダヤ教とキリスト教の内に見出し第一価値様式ローマ帝国ならびにルネサンスナポレオン割り当てる。もっとも、これら二つの道様式対立は、内的葛藤抱えた一人一人人間中でも依然として闘争繰り広げることになるとされる今日でも、比較高邁な精神持ち主においては両方価値評価様式がともに存在し、相争っている。しかしながら全体として奴隷道徳のほうが勝利をおさめることとなったニーチェ自身は——無条件に、見境なしにというわけではないが——はっきりと「貴族的」な世界観のほうに強い共感表明しており、自らの哲学によって「賤民的」な道徳対す闘争再開されうることを期しているように思われる

※この「第一論文 「善と悪」・「よいとわるい」」の解説は、「道徳の系譜」の解説の一部です。
「第一論文 「善と悪」・「よいとわるい」」を含む「道徳の系譜」の記事については、「道徳の系譜」の概要を参照ください。

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