穂鞘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 14:07 UTC 版)
槍の携行時や運搬時に槍頭(穂)の防汚・防錆や欠損防止、また人員や馬などの家畜・物資や構築物に接触した際に損傷させることを防ぐために、中世以降は戦時以外では刀剣と同じように鞘に収めることも考えられた。 材質としては西欧では皮革製、アジアでは布を巻きつける簡素な手法や陶器製・木製のものが多い。日本では打刀の鞘と同じように木製が多く、後世(少なくとも江戸時代前期)にはのりで厚く重ねた和紙を漆で固めた簡易の鞘も出てきた。緊急時に地面に叩きつけて鞘を外せるようにわざと細かく分割した木材を貼り合わせて作られることもある。さらに凝ったものや装飾用のものには西欧ではスエードや羊毛、ビロードなどを鞘の内張りにすることがあり、日本では平安時代から獣の毛皮を内側に張るなどして緩衝と防湿・防水の効果を持たせる場合があった。室町時代以降皇族や各時代の為政者・権力者が所持する高価な物や献上品等、神事の山車鉾用鞘などでは前述の西欧同様舶来輸入品であるスエードや羊毛、ビロードで内貼りされたものもわずかながらあった。また戦国末期から江戸時代にかけて、日本では螺鈿細工などの蒔絵細工を施すなど装飾する場合や家紋を入れる場合もあった。
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