稲生平太郎とは? わかりやすく解説

横山茂雄

(稲生平太郎 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/14 07:34 UTC 版)

横山 茂雄(よこやま しげお、1954年 - )は、日本の英文学者翻訳家作家奈良女子大学名誉教授

作家としては稲生 平太郎(いのお へいたろう)[1] の名を用いる。他の筆名に法水金太郎小栗虫太郎の小説の登場人物・法水麟太郎と、コメディアンの清水金太郎に由来する[2])。

来歴

大阪府豊中市出身。1978年京都大学文学部英文科卒、1981年同大学院修士課程修了、1998年「異形のテクスト - 英国romantic novel研究」で京都大学より博士(文学)の学位を取得。岡山大学講師助教授を経て奈良女子大学助教授、教授。2020年3月で定年退職により名誉教授。

京都大学入学の1974年4月、京都大学UFO超心理研究会に参加[3]。同じ1974年6月、大川一夫らがたちあげた京都大学推理小説研究会に参加し[4]、のちに古本仲間となる川島昭夫(イギリス近代史研究者)と出会う[5]。この1974年の夏には、のちにオカルトの研究仲間となる井村宏次とも出会っている[6]

1975年、京大幻想文学研究会をたちあげる(顧問:蜂谷昭雄[7]。同1975年、蜂谷昭雄との読書会を開始する[8]。1976年、石田利夫が中心となっていた雑誌『幻影城』の愛好者の会「13人の会」に参加[9]。「13人の会」の機関誌だった『堕天使通信』には高校時代の芦辺拓も参加していた[10]

また、1977年、吉永進一らとオカルト研究団体「近代ピラミッド協会」を結成していた[11]。また大学院生時代に、高校時代の友人だった後藤繁雄[12]がたちあげた出版社エディシオン・アルシーブから刊行された幻想文学についての季刊誌『ソムニウム』(1979年から)にブレインとして参加[13]

英国の18-19世紀ゴシック小説が専門だが、南方熊楠研究など民俗学研究も行う。また学生時代よりのオカルティズム研究の延長で稲生物怪録からとった稲生平太郎の名で幻想小説を執筆する。

2009年度から2014年度に科学研究費助成を受けて、英国エリザベス朝の学者ジョン・ディーの魔術文書を分析し[14][15]、その成果の一部を2016年に単行書として刊行。

2023年、『近代出版研究 第2号』の巻頭に「横山茂雄ロングインタビュー」が掲載された。

著書

横山茂雄 名義
  • 『聖別された肉体 オカルト人種論とナチズム』(書肆風の薔薇、ロサ・ミスティカ叢書) 1990.11 doi:10.11501/13065692
  • 『異形のテクスト 英国ロマンティック・ノヴェルの系譜』(国書刊行会) 1998.6
  • 『神の聖なる天使たち ジョン・ディーの精霊召喚 一五八一~一六〇七』(研究社) 2016.2
  • 『昭和・平成オカルト研究読本』(ASIOS編著、横山のインタビューを収録、サイゾー) 2019.6
  • 『増補 聖別された肉体 オカルト人種論とナチズム』(創元社、叢書パルマコン) 2020.8
  • 『コンスピリチュアリティ入門 スピリチュアルな人は陰謀論を信じやすいか 』(竹下節子 清義明 堀江宗正 辻隆太朗 栗田英彦 雨宮純との共著、創元社、叢書パルマコン・ミクロス) 2023.3
  • 『霊的最前線に立て! オカルト・アンダーグラウンド全史』(国書刊行会、武田崇元との対話) 2024.10
稲生平太郎 名義
  • 『アクアリウムの夜』(書肆風の薔薇、ロサ・ミスティカ叢書) 1990.8 doi: 10.11501/13463167、のち角川スニーカー文庫 2002.1
  • 野村敏晴(編集)、稲生平太郎、井村宏次、岩本道人(寄稿)『別冊歴史読本・特別増刊・オカルトがなぜ悪い!』新人物往来社 1994.8 のち井村宏次,稲生平太郎,吉永進一『オカルトがなぜ悪い!』ビイング・ネット・プレス、2024.6
  • 『何かが空を飛んでいる』(新人物往来社) 1992.10 doi:10.11501/13665818
  • 『アムネジア』(角川書店) 2006.1
  • 『定本 何かが空を飛んでいる』(国書刊行会) 2013.11
  • 『映画の生体解剖 恐怖と恍惚のシネマガイド』(高橋洋との共著、洋泉社) 2014.3
  • 『映画の生体解剖X映画術: 何かがそこに降りてくる Kindle版』(稲生平太郎、高橋洋塩田明彦(著), 石堂藍(編集) かなざわ映画の会 2015年
  • 『映画の生体解剖 vs 戦慄怪奇ファイル コワすぎ!: 映画には触れてはいけないものがある Kindle版』稲生平太郎、白石晃士、高橋洋(著)、石堂藍(編集) かなざわ映画の会 2016年
  • 『映画の生体解剖✕霊的ボリシェヴィキ: 霊・物質・言葉 Kindle版』(稲生平太郎、高橋洋、武田崇元(著)、石堂藍 (編集) えいがの会 2018

編著

責任編集

「20世紀イギリス小説 個性派セレクション」全5巻(佐々木徹と共同、新人物往来社)
  • 『ヴィクトリア朝の寝椅子』(マーガニータ・ラスキ、横山茂雄訳) 2010.3
  • 『フォーチュン氏の楽園』(シルヴィア・タウンゼンド・ウォーナー、中和彩子訳) 2010.7
  • 『ズリイカ・ドブソン』(マックス・ビアボーム、佐々木徹訳) 2010.10
  • 『孤独の部屋』(パトリック ハミルトン、北川依子訳) 2011.4
  • 『卑しい肉体』(イーヴリン・ウォー大久保譲訳) 2012.9
「ドーキー・アーカイヴ」全10巻(若島正と共同、国書刊行会)

監修

  • 世界文学あらすじ大事典 全4巻 横山茂雄/監修 石堂藍/監修 国書刊行会 2005-2007

翻訳

ラジオドラマ

出演

テレビ番組

  • 『幻解!超常ファイル』UFOと人類、禁断の秘密&危ない!こっくりさん(NHK BSプレミアム 2017年6月10日放送)

映画

  • 『宇宙人の画家』(2022年7月2日公開、ブライトホース・フィルム)[18] - 稲生平太郎名義

YouTube

  • 「【ナチスとオカルト①】Jホラーの巨匠・高橋洋×オカルト研究家・稲生平太郎(横山茂雄)が語る狂気のオカルト人種論とは?」(2023年4月24日公開、オカルトエンタメ大学)
  • 「【ナチスとオカルト②】ヒトラー生存説/不死の戦闘集団/ナチスオカルト映画/フリッツ・ラングとナチス(高橋洋×稲生平太郎)」(2023年4月25日公開、オカルトエンタメ大学)

脚注

  1. ^ 「稲生」の読みは「いのう」ではなく「いのお」。『定本 何かが空を飛んでいる』(国書刊行会)巻末の著者紹介には、(いのお・へいたろう)と読みの記載あり。
  2. ^ 横山茂雄ほか (2023). “横山茂雄ロングインタビュー : 川島昭夫・吉永進一らとの交友、そして古本収集話”. 近代出版研究 (近代出版研究所) 第2号: 17. 
  3. ^ 横山茂雄ほか (2023). “横山茂雄ロングインタビュー : 川島昭夫・吉永進一らとの交友、そして古本収集話”. 近代出版研究 (近代出版研究所) 第2号: 14. 
  4. ^ 大川一夫『ホームズ!まだ謎はあるのか? 弁護士はシャーロッキアン』P.96、2017年 一葉社
  5. ^ 横山茂雄ほか (2023). “横山茂雄ロングインタビュー : 川島昭夫・吉永進一らとの交友、そして古本収集話”. 近代出版研究 (近代出版研究所) 第2号: 9-10. 
  6. ^ 横山茂雄ほか (2023). “横山茂雄ロングインタビュー : 川島昭夫・吉永進一らとの交友、そして古本収集話”. 近代出版研究 (近代出版研究所) 第2号: 10. 
  7. ^ 横山茂雄ほか (2023). “横山茂雄ロングインタビュー : 川島昭夫・吉永進一らとの交友、そして古本収集話”. 近代出版研究 (近代出版研究所) 第2号: 12-13. 
  8. ^ 横山茂雄ほか (2023). “横山茂雄ロングインタビュー : 川島昭夫・吉永進一らとの交友、そして古本収集話”. 近代出版研究 (近代出版研究所) 第2号: 24. 
  9. ^ 横山茂雄ほか (2023). “横山茂雄ロングインタビュー : 川島昭夫・吉永進一らとの交友、そして古本収集話”. 近代出版研究 (近代出版研究所) 第2号: 10-11. 
  10. ^ 横山茂雄ほか (2023). “横山茂雄ロングインタビュー : 川島昭夫・吉永進一らとの交友、そして古本収集話”. 近代出版研究 (近代出版研究所) 第2号: 15. 
  11. ^ 横山茂雄ほか (2023). “横山茂雄ロングインタビュー : 川島昭夫・吉永進一らとの交友、そして古本収集話”. 近代出版研究 (近代出版研究所) 第2号: 20-24. 
  12. ^ 武田崇元+横山茂雄『霊的最前線に立て!』(国書刊行会)P.156
  13. ^ 武田崇元+横山茂雄『霊的最前線に立て!』(国書刊行会)P.167
  14. ^ ジョン・ディーの一次資料に関する基礎的研究
  15. ^ ジョン・ディーの一次資料に関する発展的研究
  16. ^ 放送済みの作品(2002年) NHKオーディオドラマ
  17. ^ 放送済みの作品(2005年) NHKオーディオドラマ
  18. ^ "呂布カルマ、シソンヌじろうら出演のネオSFサスペンス 22歳の異色新人監督作「宇宙人の画家」公開". 映画.com. カカクコム. 13 May 2022. 2022年5月13日閲覧

関連項目

外部リンク


稲生平太郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/18 14:38 UTC 版)

木槌の誘い」の記事における「稲生平太郎」の解説

稲生物怪録登場する備後国武士16歳にして家を継ぐが、その家に次々と妖怪現れる

※この「稲生平太郎」の解説は、「木槌の誘い」の解説の一部です。
「稲生平太郎」を含む「木槌の誘い」の記事については、「木槌の誘い」の概要を参照ください。

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