福田赳夫内閣での議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 19:27 UTC 版)
「日本国政府専用機」の記事における「福田赳夫内閣での議論」の解説
福田赳夫内閣から、政府専用機導入へ向けた検討が本格化した。1978年6月23日に、首相官邸で実施された経済対策閣僚会議では、円相場がどんどん上がっていたことから、これの対策としてドルを減らすための緊急輸入が議論された。園田直・外務大臣が、「総理や閣僚の外国出張、外国からの賓客の輸送、有事の際の海外同胞の引き揚げなどを考え、政府専用機としてボーイング707を2機ほど購入したらどうか」と発言した。同月30日の経済対策閣僚会議で座長だった宮澤喜一・経済企画庁長官が、①世界の主要国のほとんどが大統領、首相の専用機を持っている。②外国の元首が死去した時の特派大使の派遣や、サイゴン陥落の時の邦人救出のように、緊急の際には民間機では間に合わないこともある。③民間機のチャーターは経費がかかる、などの理由を挙げて政府専用機を買いたいと発言した。 当時の関係省庁(総理府、外務省、経済企画庁、運輸省、防衛庁)の課長クラスによるプロジェクトチームの検討では、機種候補として、ボーイング707 、ダグラス DC-8、エアバスA300 、ロッキード L-1011 トライスター、ボーイング747、マクドネル・ダグラス DC-10などが候補になった。B707、DC-8は騒音が大きい。A300は航続距離が短い。L-1011はロッキード事件の余波で取り上げにくい。B747はキャパシティが大きすぎるとされ、DC-10が一応有力候補とされた。 これに対して、ボーイング社は担当重役を日本に派遣し、同年8月11日に記者会見を実施した。ボーイング社の主張では、ボーイング747SPならばDC-10と価格がほぼ同じで、性能で勝負できるというものだった。これに対してマクドネル・ダグラス社は、DC-10はアメリカ大統領専用機(エアフォースワン)の次の候補となっていた(結果的には採用されなかった)ことや、整備は日本航空が同型を持っているので容易であるとアピールした。
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