福山市の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 15:00 UTC 版)
福山市当局は当初、ホテルに対し建築時は建築基準法を満たしており適法であった。その後の法律改正でそぐわない「既存不適格」になったが違法ではなく、不適格でも強制力をもった行政措置は取れなかったと説明していたが、実際にはホテルは違法建築であったことが明らかになった。 1967年に最初にあった木造2階建ての西側に鉄筋コンクリート造り4階建てを増築するため建築確認申請し、1968年2月に建築基準法上の検査済証が交付された。その後、ホテルは増改築を繰り返し改正された建築基準法からすれば不適格な状態になっていたが、建築基準法は従来からある建物には遡及して適用されないため強制力を持った措置は取れず「行政指導」しかできなかった。またホテルが1974年に福山市に提出した定期報告では床面積が大きく増えており、木造部分と鉄筋コンクリート部分を連結する改造工事をしていたと見られるが、増床を確認する査察は行われず10年以上も確認されなかった。 1987年に木造1階部分を駐車場にして階段を撤去する大規模な改造を行ったが、このような建物構造を変更する大幅な増改築は建築基準法により新たな建築確認が必要であった。しかしホテル側は申請しなかったため、この時点で建築基準法違反状態になった。そのうえ当時の建築基準法では、3階以上の建築物は耐火建築にしたり防火設備を整えるなどの改修をしなければならず、仮にホテルが建築確認申請をしても不許可になる状況であった。そのため従来「適応不適格」とされていた不備が全て「違法建築」となり大幅な改修が必要になっていた。しかし、この時査察した福山市の職員は法律違反ではないと誤判断した。以来25年間違法建築物であったが、火災まで発覚しなかった。なお建築基準法では違法建築物に対し建築主事を置く一定規模の市には改善命令に従わない場合などには使用禁止命令を出す権限があるとされていて、福山市には建築主事が置かれており、それが可能であったが行われなかった。 また、市当局はホテルに対し1987年から2011年まで5回に査察を行った。しかし「既存不適格」との判断を出し、改善するようには行政指導した。だが結局5回の査察において、この建物が違法建築であることを市当局が認識することはなかった。そのため市当局は市の査察ミスを認め謝罪している。
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