社会保険庁との戦い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 09:05 UTC 版)
全国の自治体で相次いだ年金保険料の横領を巡り、当時厚生労働大臣だった舛添要一(当時自民党)は、時効が成立していない全国9自治体に対し、刑事告発するよう求めた。合併前の旧田尻町町民生活課の元男性主事(当時30代)も、2000年11月から2001年3月の保険料約28万円を横領していたため、舛添は合併後の大崎市にも刑事告発するよう求めた。 しかし大崎市は、(1)旧田尻町が事件発覚当時、社会保険庁にも対応を相談したうえで、告発はせずに懲戒免職処分とした(2)元職員は横領を認め、全額弁償している(3)元職員は既に社会的制裁を受け、現在は更生している、等を理由に告発を見送り、社保庁に伝えた。 これに対し社保庁は、大崎市に代わり、宮城社会保険事務局長名で元職員を古川警察署に告発した。告発前日に舛添のもとを訪ね、告発しないことへの理解を求めていた伊藤は、「正直残念という思いだ」「地方がきちんとした手続きを踏んだにも関わらず、大臣が強権発動したことに失望した」等と発言した。 村井知事や、同様に刑事告発しない方針の他の自治体の首長らも「社保庁職員は刑事告発でしゃかりきになっているが、大事なのは消えた年金問題を解決することではないのか」と大崎市の対応に理解を示した。しかし、社保庁が自治体に代わり告発したのは全国初だったため、伊藤が記者会見で社保庁や舛添を批判する様子がテレビニュースなどで全国放映され、これを見て「大崎市長は犯罪者をかばった」ととらえた人たちからの抗議の電話やEメールなどが市役所に殺到した。その一方、国を相手にしても一歩も怯まず、真っ向から意見する伊藤の態度を賞賛する声もあった(ただし、批判のほうが多かった)。 仙台地検は、元職員を起訴猶予とし、このバトルは大崎市側の全面勝利となった。伊藤は「(起訴猶予は)適切な判断と思う」「旧田尻町が社保庁にも相談して処分を決めたのに、蒸し返した社保庁の行動は非常に残念」等と改めて社保庁を批判した。 その後、伊藤が陳情等で国会を訪ねた際、偶然にも舛添と鉢合わせした。現場に居合わせた人などの間で「この2人はよほど縁があるようだ」と笑い話になったという。
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