磁気浮上鉄道の開発による空気浮上式の衰退
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「空気浮上式鉄道」の記事における「磁気浮上鉄道の開発による空気浮上式の衰退」の解説
磁力で列車を浮上する概念は、空気浮上式鉄道の開発試験中に既に検討されていた。当初、この方法は非現実的であると信じられてきた。もし、システムが電磁石を使用するのであれば制御装置は法外なほど高価になる事が予想され、当時、鉄道車両を持ち上げるほど強力な永久磁石は無かった。 パワーエレクトロニクスの進歩により電磁石を使用した「アクティブトラック」の浮上式鉄道が現実味を帯びてきた。1960年代末に磁気浮上式鉄道の概念が刷新され、再び注目されるようになり、いくつかの計画がドイツと日本で始まった。同時期、Laithwaiteは浮上と推進を司る新型のリニア誘導モーターを発明した事により、従来の(車上一次式)LIMのように地上側の励磁の不要な軌道の建設が可能になった。どちらの場合でも適切に電磁石を配置することによって列車の浮上に必要なエネルギーを大幅に削減出来る事が判明した。 全体的において磁気浮上式鉄道は浮上パッドを単に電磁石で置き換えたものである。電動機とファンを取り除き浮上用パッドを磁石に交換して車両の重量を約15%減らした。この変更により空気浮上式鉄道で浮上に必要だった電力を2,100 kWから磁気浮上式鉄道では40 kW.まで減らした。これはトラックト・ホバークラフト(ホバートレイン)が鉄車輪式鉄道と低エネルギーの磁気浮上式の前に敗退する要因となった。 1970年代初頭、様々な磁気浮上式鉄道が世界中で検討された。ドイツ政府は提案された案のどれが優れているかを明らかにするために複数の異なるシステムに出資した。1970年半ばの時点でこれらのいくつかの計画はホバートレインのような騒音や砂塵を巻上げたり多くのエネルギーを費やさずにホバートレインと同水準の成果を生み出した。 1970年代初頭には世界中で広範囲な磁気浮上式鉄道の提案が活発にあった。ドイツ政府はいくつかの励磁された軌道や励磁されない軌道を用いる複数の異なるシステムに研究予算を配分してそれぞれのシステムの得失を調査した後、現在のトランスラピッドに一本化した。 1970年代半ばの時点において磁気浮上式鉄道は空気浮上式鉄道と同じ水準だったが当初、予想されたよりはるかに大きな騒音や浮上時の吹き上げ等の欠点は無かった。 既存の空気浮上式鉄道の計画は既存の資金で継続されていたが、磁気浮上式鉄道への関心の高まりと従来型の高速鉄道の導入の両方により徐々に下火になったと考えられている。
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