相補性・相乗性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 07:58 UTC 版)
限られた情報から推察した実像(インテリジェンス)には欠損や不確実性がつきまとう。このとき複数の側面・情報源から情報を収集するとそれらが相補的・相乗的に働き、統合して生成されたインテリジェンスの精度と確信度が向上する場合がある(収集の相乗効果; Collection synergy)。このプロセスを fusion、そのように得られるインテリジェンスを all-source intelligence という。 例えば、地形変化を捉えた衛星写真(IMINT)・異常なノイズが発生した電波記録(ELINT)・核エネルギー長官が現地入りしたとのスパイ情報(HUMINT)の融合により、単一面では着想できなかったり確信を得られない核実験実施というインテリジェンスを生成できる。またall-source intelligenceの失敗例は、帝国陸軍参謀本部と帝国海軍軍令部の間で情報共有が適切になされなかった事例、911テロにおいてFBIの脅威情報がCIAと連携できなかった事例など、枚挙にいとまがない。 fusionを妨げる典型的な組織構造にストーブパイプス(英語版)(情報サイロ)がある。すなわち特定の技術側面を担当する部署/サブインテリジェンスが独立して分析を行い、その過程ではfusionが達成できていない状態である。例としてSIGINTとHUMINTのfusion失敗が多数の航空機喪失を招いた第二次世界大戦ヨーロッパ戦域ボーデンプラッテ作戦が挙げられる(参考: ノルトヴィント作戦)。ストーブパイプスは組織論における「縦割り」「セクショナリズム」の一種とみなせる。
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