直列配置が偶然起きる可能性の推定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 15:56 UTC 版)
「ランダムに配した点がなす直線」の記事における「直列配置が偶然起きる可能性の推定」の解説
統計的に見て、ある地域の中に直列配置を見つけることは、想定する範囲を広げるほど急な変化で簡単になっていく。この現象を理解するためには、範囲が広くなって直線的に並びにくくなることを上回るほど、点を選ぶ組合せの選択肢が勢いよく増加する点に着目しなければならない。 一般的に受け入れられている「直列配置」の意味を表す定義の1つは次のとおり。 与えられた領域内にある一連の点から選んだ幾つかの点が、いずれも幅 w {\displaystyle w} の直線道上にある "幅 w {\displaystyle w} の直線道"とは、平面上か球の大円上、あるいはもっと一般的にその他の測量上の多様な形状など、どのように地球を近似した場合においても、数学的な意味での直線からの距離が w 2 {\displaystyle {\frac {w}{2}}} 以下になる地点の集まりだといえる。この手法を用いると、ごく小さい差異しかない直列配置が無数に生まれることになるのを注意されたい。よって少なくとも一本の直列配置が、その点の配置を直列配置だと決定するのに必要である。上記のような事情から、直列配置そのものを探すよりも、それらしい点の集まりを数えていくほうが簡便である。見つけられる直列配置の本数はその線幅 w {\displaystyle w} に非常に敏感で、およそ w k − 2 {\displaystyle w^{k-2}} に比例する(ここでの k {\displaystyle k} は直列配置に属する点の個数)。 こういった数学的知見から、以下に直列配列と思わしきものの"それらしさ"を概算する。なお、対象は"有意の"点が一様に分布した平面を仮定している。 一辺 d {\displaystyle d} で面積が d 2 {\displaystyle d^{2}} となる小さな領域に n {\displaystyle n} 個のポイントがあるとする。すべての点がある直線から w 2 {\displaystyle {\frac {w}{2}}} の距離に収まっているとする。(線幅は領域サイズに比べ十分小さい、つまり w << d {\displaystyle w<<d} とする。) ランダムに配置された点が全部で k {\displaystyle k} 個であるとすると、この中から n {\displaystyle n} 個の組を取り出す組み合わせは、 n ! ( n − k ) ! k ! {\displaystyle {\frac {n!}{(n-k)!k!}}} であらわされる。 では、こうした手法を用いるとき、これらの点が直線をなす(collinearである)確率はどうやって求めればよいか。近似を用いて粗い精度で考察してみたい。 直線を描くとみた k {\displaystyle k} 個の点の集まりの中から一番左と一番右の点を取り出して考えてみる。(別のケースとして、垂直な、一番上と一番下の点を選ぶ場合を考えてもよい。)これら2点が直線を定義するとみなす。残り k − 2 {\displaystyle k-2} 個の点が充分にこの直線の近くにいる確率は w d {\displaystyle {\frac {w}{d}}} であらわされる。(これは領域を横断するこの直線が作る面積 w d {\displaystyle wd} を領域の面積 d 2 {\displaystyle d^{2}} で割ることで求まる。) そうして、 k {\displaystyle k} 個の点を含む直線の本数は、ごく粗く見て n ! ( n − k ) ! k ! ( w d ) k − 2 {\displaystyle {\frac {n!}{(n-k)!k!}}\left({\frac {w}{d}}\right)^{k-2}} とあらわせる。ここで k << n {\displaystyle k<<n} とすると、 n k k ! ( w d ) k − 2 {\displaystyle {\frac {n^{k}}{k!}}\left({\frac {w}{d}}\right)^{k-2}} となり、点の数密度 α {\displaystyle \alpha } により n = α d 2 {\displaystyle n=\alpha d^{2}} とあらわせることから、上式は α k d 2 k k ! ( w d ) k − 2 {\displaystyle {\frac {\alpha ^{k}d^{2k}}{k!}}\left({\frac {w}{d}}\right)^{k-2}} と書き換えられ、これを領域の面積 d 2 {\displaystyle d^{2}} で割ると、 1 d 2 α k d 2 k k ! ( w d ) k − 2 {\displaystyle {\frac {1}{d^{2}}}{\frac {\alpha ^{k}d^{2k}}{k!}}\left({\frac {w}{d}}\right)^{k-2}} が得られる。これを整理して、 k {\displaystyle k} 個の点を含む直線の存在密度(単位面積あたり何本存在するか)は、以下のように求まる。 d k α k k ! w k − 2 {\displaystyle d^{k}{\frac {\alpha ^{k}}{k!}}w^{k-2}} このように、想像に反して k {\displaystyle k} 個の点を含む直線の本数は、領域の長さ d {\displaystyle d} に比例するどころでなくそれ以上の勢いで増加する。
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